あの興奮から約1年。昨年、初の欧州遠征を経験し、フランス初騎乗初V、仏オークス5着など活躍した大野拓弥騎手(36)。木南記者があらためて当時の思い出を聞いた。
「おっ、来てる。来てる。よし、差せ、差せ、アレ、大野ッ」-。1年前の6月19日、パソコンの前で声援を送ったのを覚えている。3歳女王を決める仏オークス(ディアヌ賞)。フランス国内で凱旋門賞と双璧を成す人気のG1に挑んだのが大野騎手だった。人気薄のフォールインラブで5着。「初めてまたがったときにすごくいい馬と感じたんです。直線までロスなく脚をためることができたと思う」。外枠でスタートをゆっくり出すと、最内に潜り込む。イチかバチかのイン強襲だった。
それ以前に香港国際競走の騎乗はあったが、デビュー18年目で初めて時間をつくっての海外遠征。「競馬で騎乗できるという確約はない状況でフランスへ行くことを決めたので、いきなり乗ることができて、勝たせてもらえるとは思っていませんでした(清水裕夫厩舎のザビッグショートでフランス初騎乗初勝利)。オークスも盛り上がるレースとは聞いていましたが、本当に華やかでした」。現地で3カ月を過ごし、パリロンシャンやサンクルー、夏競馬の中心地ドーヴィルなどさまざまな競馬場で騎乗した。
小林智厩舎の馬ではドイツにも遠征したという。「貴重な時間を過ごすことができました。馬場を歩きながら作戦を考えたり、細かな起伏があることを知ったり、スタンドに座って違った目線から競馬を学んだり…。興行としての日本の競馬の良さも感じました。さまざまな経験を積めたことが今の自分の競馬につながっていると思います」。シャンティイの熱狂から1年、今年は国内で日本のファンを魅了する。【木南友輔】

