【ミラノ16日=木下淳】金メダルの鉄板候補だった26年ミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)のフィギュアスケート男子で「世紀の失速」となるフリー15位、総合8位に沈んだイリア・マリニン(21=米国)が16日、当地でインスタグラムを更新。「卑劣なネット上の憎悪が精神をむしばみ、恐怖が闇へ誘う」など苦しむ胸中を打ち明けた。
23年12月から約2年2カ月、個人戦14連勝を誇った栄光から、最後に頭を抱える瞬間までを動画にまとめ「世界最大の舞台で、最も強く見える者たちでさえ、内面では見えない戦いを続けている」と書き出した。
続けて「最も幸せな記憶さえ、雑音に汚されてしまうこともある。卑劣なネット上の憎悪が精神をむしばみ、恐怖が闇へと誘う。果てしなく押し寄せる、乗り越えられない重圧の中で、いかに正気を保とうとも」と胸中を吐露した。
米国では大会序盤も女子のアンバー・グレンが批判にさらされ、マリニンも団体で金メダルの時は称賛されたが、個人で勝てなかった瞬間から米国内で誹謗(ひぼう)中傷が深刻化しているという。
投稿では「こうした瞬間が目の前を駆け巡るうちに、全てが積み上がり、避けられない崩壊をもたらす。これが、その物語の一面である」と意味深につづり、最後に「Coming February 21,2026.」と添えた。
その日は21日午後8時(日本時間22日午前4時)から、五輪のフィギュアスケート競技を締めくくるエキシビションが行われる。マリニンの出演は米メディアでも一斉に報じられていた。
本人はミラノに滞在しており、前日15日から2日連続でプラクティス(練習)リンクに姿を見せた。
世界唯一のクワッドアクセル(4回転半)を含む、全6種の4回転ジャンプを操るクワッド・ゴッド(4回転の神)は、ショートプログラム(SP)首位から、世界記録を持つフリーで衝撃の15位に沈んだ。156・33点で、自己ベストの238・24点に81・91点も届かなかった。合計も264・49点で総合8位。同じく自己記録の333・81点から69・32点も下回る惨敗を喫した。
この得点が出た瞬間、本人ではなく父のロマン・スコルニアホフ氏が激しく頭を抱え、息子が困惑した表情で見つめる画像が世界中に拡散され、物議も醸していた。

