東京五輪女子代表の野口啓代(32=TEAM au)が、「勝負アイテム」の代替を探している。

世界選手権などの大舞台では、勝負カラーの赤リボンでポニーテールを束ねるのがお決まり。シャネル製の勝負アイテムは今やトレードマークでもあり、集中力を高めるための“必需品”となっている。しかし、五輪本番ではスポンサーとの規約上、東京五輪・パラリンピック組織委員会は商業的な意味合いのあるアクセサリーなどの装着を禁じており、シャネルのロゴが入ったリボンは使用できない。女子の第一人者はこの現実を受け止めた上で、色は「赤にこだわりたい」との考えを示し、髪を結ぶ別の勝負アイテムを探している。

大会では3年ぶり2度目の優勝を果たした。24年パリ五輪方式のボルダリングとリードで争い、五輪で現役引退を表明している野口は両種目を制覇。ボルダリングでは3課題中2課題を完登。リードもゴール直前まで到達した。大会前には東京五輪を想定したスピードのシミュレーションも実施され、状態を入念に確認した。五輪前の国内最後の大会を制し、「優勝して(本番へ)自信をつけたいと思っていたので素直にうれしい。自分自身の登りに集中できた」と手応えを口にした。

23日に開幕するW杯(オーストリア)を経て、国内で最終調整する。集大成となる最初で最後の大舞台まで47日。頂点に立つために「まだまだ改善できることもたくさんあるし、成長もできる」と残り期間でのさらなる進化を誓う。壁に登る楽しさを追求する32歳のプロクライマーが、ラストスパートをかける。