【札幌レター〈60〉/返信】長谷川竜也、勝利に導くスーパーサブ

前回の「札幌レター」では、北海道コンサドーレ札幌MF長谷川竜也(30)がプロ入り後初めて地元クラブと対戦し、なじみある会場でプレーした4月17日ルヴァン杯J3沼津戦の振り返りや、出身地への思いについて紹介した。今季札幌で唯一のサッカー王国静岡出身。石川記者からの返信では、今季チームが初勝利したリーグ戦4月6日ガンバ大阪戦(1―0)での長谷川のアシストに注目し、技術の高さをデータで示してくれた。

サッカー

クロス成功率/石川記者の返信

前回は「長谷川竜也が地元へ凱旋 静岡・沼津への熱い思い」と題して、ルヴァン杯沼津戦や出身地に対する恩返しの気持ち、小中学生育成への取り組み、姿勢について紹介した。石川記者からの返信では、今季の長谷川の札幌でのプレーを分析。クロス成功率の高さが光った。

決勝点を演出

沼津に限らず、静岡県出身選手とJ1札幌のつながりは深い。昨季限りで現役を引退した小野伸二さんだけでなく、2012年にJ1最年長出場記録(当時)を樹立した現J3沼津の中山雅史監督、元札幌社長で現在はJリーグのチェアマンを務める野々村芳和氏も札幌で現役を終えた。いずれも地元愛だけでなく「札幌愛」にもあふれていた。

今季の札幌で唯一の静岡県出身選手である長谷川は、開幕から9試合全てに出場。加入1年目で先発は1試合だけだが、出場時間186分で1アシストをマークしている。4月6日のG大阪戦で途中出場し、MF宮沢の決勝点を得意のクロスで演出。チームの今季初勝利に貢献した。

現状は途中からピッチに入り、試合の流れを変える「スーパーサブ」としての役割が求められている。限られた出場時間ではあるが、シュートに直結したラストパスはチーム3位タイの5本。クロスは8本中5本を味方につなげ、成功率はチームトップの62.5%と高い数値を残している(Jリーグ公認データ「JSTATS」調べ。第9節時)。

流れを変えられる男

1―1で引き分けた4月20日の広島戦でも後半26分から途中出場。相手の背後への動き出しを続け、徐々に流れを引き寄せた。それまでのチームのシュート数は先制点となったMFスパチョークの1本だけだったが、長谷川が出場後に3本連続でシュートを記録。後半35分には長谷川のペナルティーエリア内へのパスに走り込んだMF宮沢が左足でシュートを放った。これはGKの正面だったが、防戦一方だったチームは反撃に転じた。

静岡県出身選手の札幌でのJ1出場記録を調べると、長谷川が14人目だった。その一覧は以下の通り(期間年はJ1出場年)。

本文残り71% (2154文字/3038文字)

スポーツ

保坂果那Kana Hosaka

Hokkaido

北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。