【札幌レター〈56〉/返信】29歳でJ1デビューのGK阿波加俊太は伸びしろ十分

前回の「札幌レター」では、プロ12年目の北海道コンサドーレ札幌GK阿波加俊太(29)のJ1デビュー戦を振り返った。2011年U-17W杯メキシコ大会日本代表メンバーが、29歳1カ月3日で初めて立った舞台。遅咲きなのか、石川記者に調べてもらった。

サッカー

阿波加の可能性/石川記者の返信

前回は「阿波加俊太、プロ12年目のJ1デビューとGKの絆」と題して、札幌下部組織出身キーパーとして初めてJ1出場を果たした阿波加の足跡、先輩キーパーたちとのつながりを紹介した。石川記者からの返信では、デビュー戦のプレー分析、記録を調べてもらった。

29歳、遅咲き

16歳で世界を驚かせた「黄金世代」のGKが、29歳で待望のJ1デビューを果たした。プロ12年目でようやくたどり着いた舞台。その最初のプレーは印象的だった。

3月10日の第3節、ホームでの浦和レッズ戦。開始1分に浦和のGK西川周作からのロングフィードに対し、阿波加は自陣中央付近まで積極果敢に飛び出して高い打点のヘッドでクリアした。味方のDF馬場晴也と競り合う形になってドキッとさせられたが、こぼれ球をMF駒井善成が拾って前線へ。攻守が一気に切り替わった。

町田戦でプレーする阿波加(2024年3月16日撮影)

町田戦でプレーする阿波加(2024年3月16日撮影)

その2分後にはFW前田直輝の左足シュートを落ち着いてセーブ。FW興梠慎三がこぼれ球を虎視眈々(たんたん)と狙っていた中、札幌の下部組織出身GKとして初めてJ1のピッチに立った阿波加はがっちりとキャッチして隙を見せなかった。

同14分にもペナルティーエリア外に果敢に飛び出してクリア。最終ラインの背後のスペースを埋める守備範囲の広さも示した。その直後には相手のコースを突いたシュートも鋭い反応で好セーブ。1失点を喫して敗れたものの、90分通して安定したプレーを披露した。

世界8強を経験

阿波加は2011年U-17ワールドカップ(W杯)メキシコ大会で8強入りし、王国ブラジルとも対等に渡り合った1994年度生まれの「94ジャパン」の一員。世界で活躍するMF南野拓実(モナコ)を筆頭に、GK中村航輔(ポルティモネンセ)、MF中島翔哉(浦和)らA代表まで駆け上がった選手らとともに「W杯」のピッチに立った。

U-17W杯ニュージーランド戦に先発したU-17日本代表選手(2011年6月30日、JFA提供)

U-17W杯ニュージーランド戦に先発したU-17日本代表選手(2011年6月30日、JFA提供)

当時、札幌のU-18所属で、GK中村に次ぐ立場だったが、決勝トーナメント1回戦のニュージーランド戦に途中出場。試合は6-0で快勝し、MF中田英寿らを擁した1993年大会以来となるベスト8進出に貢献した。

横浜F・マリノスで主将を務めるMF喜田拓也、鹿島アントラーズの守備を支えるDF植田直通ら、今もJ1のトップクラブの主力として活躍する選手が多く、札幌のMF深井一希(当時札幌U-18)とFW鈴木武蔵(当時桐生第一)も、そのメンバーに名を連ねていた。

本文残り71% (2676文字/3786文字)

スポーツ

保坂果那Kana Hosaka

Hokkaido

北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。