【札幌レター〈51〉】新戦力の「注目ポイント」と「印象」を紹介します

北海道コンサドーレ札幌に今季10選手が加入した。そのうち復帰組とルーキーをのぞく新戦力のMF長谷川竜也(29)、DF高尾瑠(27)、DF家泉怜依(24)、MF近藤友喜(22)の4選手にスポットを当て、注目ポイントや取材時に受けた印象などを紹介する。

サッカー

札幌新加入会見に出席した(前列左から)鈴木、長谷川、阿波加、高尾、(後列左から)家泉、近藤、田中克、岡田、出間(2024年1月14日撮影)

札幌新加入会見に出席した(前列左から)鈴木、長谷川、阿波加、高尾、(後列左から)家泉、近藤、田中克、岡田、出間(2024年1月14日撮影)

ともに挑戦する

MF長谷川竜也(29)
横浜FCから加入

今季初実戦だった1月20日沖縄県リーグ1部FCセリオーレとの練習試合では今回紹介する4選手で唯一、主力組で先発した。ポジションは左シャドー(1.5列目)。足元の技術と工夫された動きが光った。MF駒井善成、MFスパチョーク、MF青木亮太らが同位置のライバル。左ウイングバックも候補だが「僕はやれと言われたポジションで、まずは自分の最大限の力を出すのが大事。特にそんなに気にはしていない」と、希望やこだわりは口にせず、黙々とアピールする。

2016~2021年に所属した川崎フロンターレでは4度のJ1優勝(17、18、20、21年)とルヴァン杯(19年)、天皇杯(20年)の6冠を経験している。それだけに、札幌ではクラブ初のタイトルをけん引する存在として期待が高い。本人としては少し違う感覚のようだ。「川崎時代にタイトルにすごい貢献できた年ってそんなに多くない。僕自身も川崎時代に優勝させてもらった側なので、まだどうしたら優勝できるのかっていうのが、これっていうのはわかっていない」。先導役になるというより、〝ともに挑戦する〟という感覚。コメントからも謙虚タイプとわかる。話し方も静かでおっとりしている。

それでも札幌がタイトルを獲得するために必要なことを、明確に分析できていると感じた。「力もある。積み上げてきた魅力的なサッカーもある。ただ、競った試合で勝つか負けるかってところで、上に行けるか行けないかって決まってくる。そういった落としちゃいけない接戦をどうものにできるのかっていうのがキーになるんだろうなって外から見ていて思った」。ここ数年の札幌は内容で上回っても勝ちきれず、勝ち点を取りこぼす試合が多い。課題克服のために力を尽くしてくれるはずだ。

「結構ポジティブ」

DF高尾瑠(27)
ガンバ大阪から加入

札幌から2年連続のオファーを受け、移籍を決断。前回オファー時は「ちょうど(G大阪との)契約が切れるタイミングだった。またガンバでしっかりやりたいって気持ちが強くて更新した」という。昨季はプロ入り5年目でリーグ戦最少の16試合出場にとどまった。「5年目で慣れによって成長がない。(GMの)三上(大勝)さんがすごく自分を評価してくれて、ここで活躍したいと思った。新たな地でチームのために頑張りたいと思った」と、2度目のラブコールに応え、新天地挑戦を選んだ。

沖縄キャンプ中のミニゲームでは主力組でも控え組でも3バック右に入った。攻撃参加が持ち味のディフェンダー。「後ろからの推進力のあるドリブル、得点に絡むプレーを見てもらいたい」と札幌のサッカーになじめば、心強い存在となる要素は十分だ。

ただ、沖縄キャンプ4日目に負傷離脱。そのためまだ実戦をこなせていない。開幕スタメン争いには出遅れた。札幌のサッカーをプレーしてみて、「いざ入ってみると、すごくみんな走る。ガンバはそんなに走らないスタイルだったので、そこが違う」と、運動量の多さに驚いた様子だった。マンツーマンディフェンスで、連動性が求められる。ただ、自身の成長の可能性を感じて前向き。「こういうサッカーをあまりしたことがない。自分がうまくなれそう。結構ポジティブ」と楽しんでいる。

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スポーツ

保坂果那Kana Hosaka

Hokkaido

北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。