【札幌レター〈58〉/返信】キム・ゴンヒ、チームの得点力不足解消へ救世主となれるか

前回の「札幌レター」では、FWキム・ゴンヒ(29)の今季これまでのリハビリ生活や、MF深井一希(29)が語る素顔を紹介した。石川記者は札幌の今季の「クロス数」に注目し、データを分析。空中戦に強いチーム唯一の外国人長身ストライカーの復帰が、得点力不足のチームを救う。

サッカー

クロスから好機を/石川記者の返信

前回は「キム・ゴンヒ復活へ 深井一希が語る素顔」と題して、グロインペイン症候群(股関節痛)に悩む来日3年目の韓国人FWを紹介した。石川記者からの返信では、札幌の課題解決の可能性を秘めるキム・ゴンヒの能力について示してくれた。

苦戦の理由

キム・ゴンヒが復帰を目指している。札幌担当保坂記者のレターの最後に、さらなる巻き返しのヒントになりそうな1枚の写真が添付されていた。

川崎F戦で同点ゴールを決めるキム・ゴンヒ(2023年4月1日撮影)

川崎F戦で同点ゴールを決めるキム・ゴンヒ(2023年4月1日撮影)

2023年4月1日のホームでの川崎F戦。身長186センチの元韓国代表FWは、MF浅野の左からのFKを高い打点のヘッドでたたき込んだ。相手にマークされながらも、その跳躍力によって空中ではフリー。ピンポイントで合わせたボールは勢いよくゴール左隅に突き刺さった。キム・ゴンヒの高さが際立ったシーンで、その最高到達点を捉えた写真だ。

開幕から6戦勝ちなしと苦しんでいた札幌が4月6日のG大阪戦で今季初白星を手にした。後半28分、ペナルティーエリア内の右でパスを受けたMF長谷川のクロスを、MF宮沢が「魂込めて」頭でねじ込んだ。

G大阪戦の後半、ヘディングシュートを決める宮沢(2024年4月6日撮影)

G大阪戦の後半、ヘディングシュートを決める宮沢(2024年4月6日撮影)

今季はここまで、こうしたクロス攻撃が鳴りをひそめ、チーム苦戦の理由の1つに挙げられた。Jリーグ公認データ「JSTATS」が発表したG大阪戦前のリポートによると、クロス数はリーグワーストの1試合平均11.8本。昨季の同14.8本から大きく数を減らしていた。シュート数も昨季の12.8本から今季は7.6本に激減。主力が数多く抜けたこともあって、サイド攻撃は機能性を失い、得点数もリーグ最少だった。

だが、初勝利を挙げたG大阪戦ではその攻撃に改善の兆しが見られ、3バックの右のDF馬場、左の菅が積極的に攻め上がってゴール前に鋭いクロスを送った。宮沢の得点シーンに象徴されるように、ペナルティーエリア内の脇のスペースを攻略し、そこからのクロスで好機をつくった。

G大阪戦でヘディングシュートを決め歓喜する宮沢(中央)(2024年4月6日撮影)

G大阪戦でヘディングシュートを決め歓喜する宮沢(中央)(2024年4月6日撮影)

本文残り68% (1944文字/2874文字)

スポーツ

保坂果那Kana Hosaka

Hokkaido

北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。