優勝戦で村田修次(46=東京)は、3コース発進からスリットをコンマ02のトップスタートで通過。

1Mで鋭くまくり差したが、入りきれず、5番手まで後退した。

ところがこれで終わらなかった。バックストレッチで前の艇を猛追して、2Mはきれいな弧を描くウィリーターン一閃(いっせん)。前を行く2艇を抜き去り、3着でレースを終えた。

その村田は、前検から黙々とエンジンを分解し、節間も熱心に調整作業を続けた。調整力があるとされるゆえんを探るべく、村田に聞いた。

 

-以前から、整備力があると言われています

そう言われるのは、悪い気はしません。でもこれは才能ではありません。整備力を付けるにはどうしたらいいかと言うと、回数をこなすしかないんです。面倒くさがると駄目ですね。

-失敗は成功の元

1つの正解を出すのに、僕はだいたい10個失敗しています。ただ、その10個の失敗は、ノウハウとして自分の中に蓄積されますから、決して無駄にはなりません。いいところは伸ばそうとしなくても、勝手に伸びるんです。でも、自分に無いものは、努力して伸ばそうとしないと伸びません。

-今、弟子は何人いますか

3人見ています。富樫麗加、今泉友吾、馬場剛です。みんな、僕のレースをよく見ているので、彼らを意識しながら整備をしています。徐々に(機力を)良くしていって、(節の)最後に仕上げるようにしているんです。

-なぜですか?

そうすることによって、例えば、2日目までは伸びていなかったのに、なぜ3日目は伸びていたんですか? と聞かれれば、それに対して彼らに、こうしたからと答えることが出来るからです。

-3人をそれぞれどう評価していますか

富樫さんのいいところは、ターン力と強い気持ちを持っているところです。一方、努力が必要なところはスタート力と、時として頑固なところです。今泉がここのところ、大分良くなってきていますね。補うべきところは、同じく頑固すぎるところと、スタート力です。馬場はスタート力と道中のさばきはピカイチです。ただ飽きっぽいところが難点です。記念でやっていくために必要なのは、スタート力です。この3人はウイークポイントを補えたら、絶対に記念でやっていけます。

-そうなれば師匠としてもうれしい

教えるレベルは、3人それぞれ違いますけど、僕も張り合いがあって、面白くやっています。一貫して彼らに言っているのは、目先ではなく、後々のことを考えて勉強しろということ。それと、最低でも僕を目指せ、と言っています。僕を越せば記念を狙える。ただ簡単には抜かせませんけどね(笑み)。