ワールドカップ(W杯)カタール大会を前に、重要なドイツ遠征の2試合が終わった。元日本代表FWで日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(58)は、本番で受け身にならざるをえない状況を想定しつつも、日本のよさが出ない試合運びに改善を求めた。

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W杯本番を考えると、日本は“やりたいサッカー”よりも、“やらなければいけないサッカー”が増えていくのは仕方がない。いわば理想より現実。このエクアドル戦も同様で、まずは失点しない意識から入っていたのは理解できる。

ただ、1試合を通じ、総じて受け身ではあるが、受け続けないことが大事になってくる。相手の攻撃を受け続けることで心身ともスタミナが削られ、勝つ確率が減っていくからだ。日本の武器である高い技術を発揮できる局面、時間帯を、どんな強豪国であろうと、いかにつくれるかがポイントになる。

その意味では、エクアドル戦は、しっかりつなぎ、アタッキングサードまでボールを運んで、前線の選手の特長を生かす場面が少なく、物足りなさが残った。ボールを持ってもすぐに奪われる場面があり、前線に飛びだす古橋の特長を出せなかった原因でもあった。大きな反省だろう。

この試合がW杯第2戦のコスタリカ戦を想定していたなら、勝ち点1は取れるのかもしれない。ただ、勝利には届かない。“やらなければいけないサッカー”の中に、1つでも2つでも日本の武器を出してほしい。(日刊スポーツ評論家)