サッカー現場発

ジャンボ大久保哲哉“敗者復活”天皇杯で見せる意地

横浜FCなどでプレーし、ジャンボの愛称で知られるFW大久保哲哉(40)が、天皇杯で“敗者復活”のチャンスを得た。

FIFTY CLUBでプレーするFW大久保(クラブ提供)
FIFTY CLUBでプレーするFW大久保(クラブ提供)

コロナ禍で、天皇杯の神奈川県代表決定戦「神奈川県サッカー選手権大会」の1、2回戦が中止となり、4月に準決勝進出チームが、抽選で決められた。大久保が所属するFIFTY CLUB(神奈川県1部)は、抽選で敗退。1度はあきらめたが、レギュレーションが変更となり、県代表決定戦が復活。FIFTY CLUBは12日に、東邦チタニウム(関東2部)と無観客で対戦することになった。

大久保 まず予選ができるのは、率直に良かった。抽選負けの知らせをクラブからのメールで知って、あまりにもあっけなさすぎて不完全燃焼の気持ちが強かったので…。予選が復活したのは、動いてくださった関係者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

大久保はかつて、横浜FC、柏レイソルなどJクラブでプレーしJ通算99得点。今回の天皇杯はJクラブはJ1の2チーム、J2、J3の優勝チームの計4チームだけの出場だが、Jクラブとの対戦の可能性がある天皇杯には個人的にも思いが強い。

活動自粛期間は、自宅でできるトレーニングをできる範囲で続け、6月から全体練習が再開。ロッカールーム、シャワーも使用禁止のため、練習後はウエットシートで体を拭いて家路につく。新様式での練習に「今まで経験したことはない。シャワーが使えないのは気持ち悪いですね」。それでも、8月からは神奈川県1部のリーグ戦が開始予定で「活動自粛期間から初めての公式戦が天皇杯。リーグ戦に向けても、勝って勢いをつけたい。そのためにも得点が必要」と手にしたチャンスを生かす覚悟を口にした。

大久保は選手と同時に、指導者としても活動している。5月には指導者のA級ライセンスを取得。昨年からテクニカルアドバイザーとして三浦学苑のサッカー部の育成・指導に携わる。自身が選手だからこそ、インターハイがなくなった高校生の気持ちが痛いほど分かった。活動休止期間は、オンラインでミーティングも開催。学生に向け「苦しいことの後には、必ず、意外な見返りがあったりする。思いを持ち続けてほしい」と伝え続けてきた。緊急事態宣言解除後に部活も再開し「選手たちはまったく、緊張が切れている感じはしなかった。今は、神奈川県のリーグ戦、冬の選手権に向けてやっています」と目を細め、教え子の姿にも刺激を受けている。

今年から中学の恩師との縁で一般財団法人「シティーサポートよこすか」のアドバイザーに就任し、今後、地元の中高生の授業や部活で講義や指導を行う活動を始めるという。天皇杯で人生初の抽選負けから一転、敗者復活のチャンスを得た今季。夏の大会を不完全燃焼で終えた“後輩”たちに、先輩としての背中を見せる意味でも、プロの意地を見せたいところだ。

最後に1つ余談を。昨季の関東大学サッカーリーグ2位、インカレ2位の桐蔭横浜大も抽選負けから復活した。桐蔭横浜大の安武亨監督は、抽選前に箱根神社に祈願に出向き、カツ丼を食べて抽選の場に向かった。しかし、抽選で勝ち上がったのは、神奈川県サッカー協会のスタッフが代理でくじを引いた専大。安武監督はショックからしばらく立ち直れなかったそうだ。県大会が復活し、7月29日に神奈川大と産業能率大の勝者と対戦する。コロナがもたらした悲喜こもごも。桐蔭横浜大が、箱根神社の御利益を受けることができるか、こちらも注目したい。【岩田千代巳】

日刊スポーツのサッカー担当記者が取材現場の空気を熱く伝えます。

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