サッカー現場発

引退から20年、元Jリーガー弁護士の取り組み不変

元Jリーガーの弁護士がいる。八十(やそ)祐治氏(50)。大阪弁護士会に所属し、大阪市内の法律事務所に勤務。優しい語り口ながら、少年事件や成年後見人、時には国選弁護人を務めるなど、幅広い分野を精力的に扱っている。

八十祐治さん(2005年11月14日撮影)
八十祐治さん(2005年11月14日撮影)

神戸大を卒業後、93年にガンバ大阪に加入。ボランチとして、当時ヴェルディ川崎にいた現横浜FCのカズ(三浦知良)と対戦した経験を持つ。G大阪時代は居残り練習を重ね、レギュラー定着を狙うも、結果を残せず出場は3試合にとどまった。再起を誓ったヴィッセル神戸ではケガに泣かされた。31歳で社会人チームの横河電機で現役を退いた。理想とは違った現役生活だったが、前を向いた。「サッカーと同じぐらいやりがいがある仕事に就きたかった。30歳を超えてから転職は簡単にできない。『資格を取るしかない』と、司法試験の勉強を始めました」と語った。

一から法律を学んで4年で合格。最初の2年間は会社に勤務しながら夜間6時間勉強。後半の2年は会社を辞め、住居を東京から地元大阪に移し試験に備えた。蓄えを切り崩し、実家から米をもらいながら生活した。当時は妻と生後間もない長女もいた。将来への不安から、「一生受からへんのちゃうか」と頭をかかえることもあった。支えのひとつがサッカーでもがいた経験だった。「(合格したときは)とにかくホッとしました」と振り返った。

現在、新型コロナウイルスの影響で、給与の支給が困難な企業や労働者などの相談にも応じている。「思い描いたサッカー人生ではなかった。でも、好きなことに飛び込んで、挑戦したことは間違いじゃなかったと今は思える。真剣にやってきたから次に生きた」。引退して約20年。真摯(しんし)に取り組む姿は変わらない。【南谷竜則】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

日刊スポーツのサッカー担当記者が取材現場の空気を熱く伝えます。

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