日本代表の西野朗監督(63)が「ハリルホジッチ・サッカー」からの“完全決別”を宣言した。ワールドカップ・ロシア大会の代表発表前、最後の国際親善試合となるガーナ戦を翌日に控えた29日に会見。システム変更の意図や選手の成長、そしてある程度メンバーが固まっていることを明かした上で、日本代表に向けられる「負のイメージ」を一変させる試合にすることを誓った。

 口調は、これまでと変わりない。穏やかで淡々と。だが、言葉には熱がともなっていた。それは西野監督の覚悟だとも受け取れた。

 「今の代表は(以前のネガティブな)イメージを持たれている代表ではない。代表としてのスピリット(魂)やファイト、これで本大会に行くんだという、そういう空気をつくれる試合にしたい」。それは、ハリルホジッチ前体制からの“脱却”を意味していた。

 会見ではいくつも例を挙げた。例えば「今まではどんな状況でも4バックで、システム自体を試合中に変えて対応することはなかった」。かたくなな戦術-。そこに風穴をあける意図がシステム変更にあった。戦況に応じて3バックから5バックまで対応する選択肢を増やす-。西野ジャパンではチームにこそ「ポリバレント」(複数のポジションをこなす)力を求めた。

 選手の能力を引き出すべく、配置も大きく変えた。前任者では右サイドに固定されていたMF本田も「センターMFでやった方が、彼のいいところが出る」と中央へ。MF原口も右ウイングバックで試している。「選手の意識は大きく変わった」。その反応もまた前体制にはないものだった。

 技術委員長時代は「W杯イヤーに入っても『大丈夫か』『面白くない』と心配された声がたくさんあった」と振り返る。だが、11人で始まった21日の合宿開始からわずか9日。「成長を感じるところが非常にある。サッカーは超絶的に大きく変えることは難しいのですが、代表チームでは可能だと今、感じています」。

 その手応えは、果たしてどれほどのものなのか。西野ジャパンが今、船出する。【今村健人】