【ビシケク(キルギス)12日=浜本卓也】日本代表FW鈴木武蔵(25=札幌)は、厳しい敵地の環境も歓迎だ。所属クラブの本拠地札幌市と試合会場のビシケク市の北緯はともに43度。11日は気温が5度以下まで下がる中、寒そうなそぶりを見せずに調整した。今季12得点はJ1得点ランキング5位タイ。直前のリーグ戦で2得点と好調の点取り屋が、寒風をはねのけ代表4試合目の出場と初得点を狙う。

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寒風が、どこか心地よさそうだった。キルギス合宿2日目。練習が開始した午後3時半時点で、日陰に入ると手がかじかむ程の寒さにも、FW鈴木は時折笑顔を見せるなど平然。前日も寒そうなそぶりをする選手がいる中で、森保監督を「武蔵は『普通です』と言ってました。札幌だけに」と喜ばせるほど普段通りの動きを見せた。日の丸を背負っても落ち着いている。

ポスト大迫の座をつかむには「得点」しかない。代表では3試合計85分の出場にとどまり、得点はゼロ。競い合うFW永井は、森保ジャパンで4戦3発と結果を残している。「初めて呼ばれたのが3月なんですけど、そこからまだ結果残してない」と置かれた境遇は自覚している。「ここでしっかり結果を残したいという思いは強い」と、自らを奮い立たせてキルギスの地に降り立った。

「自然体」で臨めるかが鍵になる。クラブと代表では求められるプレーは違うが、求められる「結果=得点」は同じだ。「クラブの中でうまくいっている部分を代表でも出せるっていうのが一番必要。代表に来たからって別の自分じゃなくて、いつも通りの自分でやっていきたい」。北の大地と似た境遇の敵地で、殻を突き破る。