昨季4強の一角が、いきなり崩れた。終了のホイッスルが鳴り終わる前に、東京の城福浩監督(54)は、右手で額を押さえた。

 敗者の指揮官の背には大ブーイング。リーグ初優勝を目標に掲げ、1歩目でつまずいた指揮官は「勝ち点を取りたかったゲームですけど、ゼロに終わって悔しい。細かいところを反省しながらも、次に生かさないといけない」と言った。中2日でアジア・チャンピオンズリーグのビンズオン戦がある。まずは切り替えるしかなった。

 主導権は握りながらも、決定的チャンスは決して多くはなかった。「これは決めないといけないというシーンが5回も6回もあったわけではなかった」と城福監督も認める。要するに崩しきれなかった。細かいパス交換もあれば、クロスで揺さぶる攻撃もあった。ボールを保持している分、攻撃を仕掛ける回数も多かった。では何が足りなかったのか。「グループで縦に深いところまでいかないと。もっと深いところまで切り裂かないとといけない。それが我々がクリアしないといけない課題」と、繰り返した。

 実際に決定機は、後半7分にMF河野広貴(25)が右サイドをえぐり中央のMF東慶悟(25)へ出した場面と、同36分にクロスボールをFW前田遼一(34)が中へ折り返し、河野のシュートがゴールバーに直撃したシーン。いずれも相手陣地の深いところまで突いた場面だった。

 「今日のブーイングは期待の裏返しだと思うし、ブーイングを歓声に変えられるのは自分たち」。勝利のための課題を明確にし、次へと目を向けた。