帰国した西野監督(撮影・鈴木正人)
帰国した西野監督(撮影・鈴木正人)

 西野ジャパンがW杯ベスト16という結果とともに帰国した。成田空港には多くのファンが詰めかけ、選手たちの労をねぎった。2大会ぶりの決勝トーナメント進出、1勝1分け2敗という成績がどうだったかは、これから検証されるはず。とりあえず、日本代表のW杯は終わった。

 「ベスト8に行けた」という思いととともに「ここが日本の限界か」という気持ちもある。実際、ベスト8に新顔はいない。イタリアが予選敗退し、ドイツやスペイン、アルゼンチンなど優勝経験国も敗退した。それでも、準々決勝に残った8カ国はすべてベスト4以上経験国。「残るべきチームが残った」のだ。

 日本は6大会連続出場といっても、初出場から20年しかたっていない。8カ国中、クロアチアを旧ユーゴスラビアと考えれば5カ国は1930年の第1回大会から出場。最も遅く「デビュー」したロシアでさえ、今から60年前の58年大会ではW杯のピッチを踏んでいる。日本は、やっとW杯で成人になったばかりだ。

 優勝を狙うなら、まずコンスタントに8強に残れるチームを作るべき。第1回のウルグアイと第2回のイタリアを除いて、8強の経験なく優勝したチームはない。さらに、66年地元で優勝したイングランド以外すべての優勝国は、その前に準決勝を経験している。急なステップアップが難しいことは、ベルギー戦でのラスト30分で分かる。

 ただ、今大会でうれしかったのは、日本代表が「日本らしさ」を見せてくれたこと。高さや速さでは劣っていても、組織としての連動で対抗した。細かく相手を分析し、その特徴に合わせて守り、攻めた。チームのために献身的に、惜しみなく運動量で戦った。世界のトップレベルが相手でも互角に対抗してサッカーができた。できることを、世界に示すことができた。

 確かに日本のレベルは上がっている。ただ、世界も上がり、進化している。いつ追いつけるのかは分からない。しかし、追いつき追い越せることを信じて、続けていくしかない。過去2回の16強では思えなかったが、今回は「これを続け、成長してほしい」と心から思えるチームだった。「あと少し」が実は最も遠い。ベスト16の壁を突破するためには、まだまだ力不足だったことは間違いない。

【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIの毎日がW杯」)

成田空港へ到着した、左から日本代表の岡崎、昌子、乾(撮影・横山健太)
成田空港へ到着した、左から日本代表の岡崎、昌子、乾(撮影・横山健太)
大勢のファンに見守られながら成田空港を後にする日本代表イレブン(撮影・横山健太)
大勢のファンに見守られながら成田空港を後にする日本代表イレブン(撮影・横山健太)