大会も決勝を残すだけになると(3位決定戦もあるけれど)、今大会を振り返る話題が増える。

 「ベストゴールは何か」「ベストイレブンは?」…。FIFAが公式に表彰する賞には、最優秀選手、得点王、最優秀GKなどとともに「最優秀若手選手賞」がある。

 06年大会に制定された賞は21歳以下の選手が対象。正式には開催年に21歳になる選手、今大会は97年1月1日以降生まれが対象になる。ナイジェリアの19歳GKウゾホやイングランドの20歳FWラッシュフォードらが候補だが、受賞するのは間違いなくフランスの19歳FWエムバペだろう。

 今大会、受賞対象となる97年以降生まれの選手は31人いた。出場がなかったのは3人だけで、28人は大舞台のピッチを経験した。残念なのは、日本が0だったこと。最年少はGK中村で23歳、出場した最年少はDF昌子で25歳、92年生まれは世界の中堅でもある。

 「おっさんジャパン」と呼ばれた今大会の日本代表だったが、若手不在は今に始まったことではない。最優秀若手選手賞では、過去3大会でも候補となる選手は0。それ以前を振り返っても、98年フランス大会のMF小野伸二(18)、MF中田英寿(21)ぐらいしか「若手」はいなかった。

 若い選手がいれば、将来に期待がふくらむ。イングランドは準決勝で敗れたが「次が楽しみ」だ。前大会の若手ブレイクで今大会は優勝候補にあげられたベルギーは「最大のチャンス」だった。フランスは決勝で敗れても次にチャンスがありそうだが、モドリッチ世代が30過ぎのクロアチアは「ラストチャンス」だ。

 日本はどうか。長谷部と本田が代表を引退し、主力も次はほとんどが30代になる。出場最年少の昌子も29歳。カタール大会開幕の22年11月、W杯ピッチに立った経験がある20代の日本選手は昌子1人になってしまう。「カタールが楽しみ」などと言っていられない。

 もちろん、4年間で新しい選手は台頭する。新陳代謝は必ずある。ただ、その選手に「大舞台の経験がない」のは不安。「サッカーは年齢でやるのではない」のは確かだし、経験を積んだベテラン中心のチームが好成績を残すことも多い。今大会のクロアチアのように。

 ただ、ベテランが去った後は低迷が続く。欧州の強豪でも同じだ。まあ、代表の成績に波があるのは当然だし、逆に8年後、12年後を楽しみにすればいいのだけれど。

【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIの毎日がW杯」)