ポルトガルのエースFWロナウド(33=Rマドリード)が止まらない。初戦でワールドカップ(W杯)史上最年長でのハットトリックを達成しているが、モロッコ戦でも前半4分にダイビングヘッドで先制点を挙げた。国際Aマッチ通算85得点となり、プスカシュ(ハンガリー、スペイン、1927~2006年)を抜いて欧州選手の通算得点数で1位になった。ポルトガルはこの1点が決勝点となり、勝ち点を4とした。

 ロナウドが2戦4発の荒稼ぎだ。前半4分、右コーナーキックからMFベルナルドがショートコーナー。パスを受けたMFモウティーニョがクロスを上げると、ロナウドが相手DFの間をすり抜け、豪快なダイビングヘッドで決めた。洗練された動きだし。モロッコDFダコスタがしっかりマークについていたが、スルリとかわされた。最終的には3人のDFがひっくり返り、ぼうぜん。魔法にかけられたような表情を浮かべた。

 これでロナウドは国際Aマッチ85得点(152試合)となり、プスカシュを抜いて欧州選手の単独1位に躍り出た。左のコーナーフラッグ付近で、高くジャンプ。右手をクルクル回す「W杯アレンジ」でおなじみのゴールパフォーマンスを決めた。チームは、ロナウドの虎の子の1点を守りきり、今大会初勝利を挙げた。試合後、ロナウドは「得点できてうれしいが、一番大事なのはチームが勝つこと。進歩していくために試合を重ねていくこと」と話した。

 初戦のスペイン戦は、W杯史上最年長のハットトリックで引き分けに持ち込んだ。同試合の総走行距離は8・723キロ。ゴールを取るために力を温存するクレバーなストライカーの姿を見せていた。5日後のこの日も、自身が相手にボールを奪われても深追いはしない。ハードワークが主流の現代サッカーでは守備をサボっているようにも見えるが、勝負どころで一発を決める仕事ぶりは、衰えるどころか、さらに磨きがかかっていた。

 2戦4発で得点ランキング1位に立つ。1次リーグ最終戦、次の相手はイラン。悲願のW杯タイトルを手にするため、エースはゴールに向かい続ける。