【カザン(ロシア)25日】“持ってる”勝負師、西野朗監督(63)率いる日本が、28日の1次リーグ最終戦ポーランド戦で2大会ぶりの決勝トーナメント進出を目指す。24日の第2戦も数々の強運伝説を持つ指揮官の采配、起用がさえ渡り、セネガルと2-2で引き分け、1勝1分けとした。直後にコロンビアに敗れたポーランドの敗退が決定。最終戦は引き分け以上なら他の試合結果にかかわらず、1次リーグを突破する。
勝負師に“持っている”は失礼なのかもしれない。だが、それほどまでに采配が当たる。もはや神懸かり。セネガル戦でも、コロンビア戦に続き、西野采配がズバリ当たった。先制されたが、こだわり抜いてけがを抱えながら23人のメンバーに加えた乾が、ワールドカップ(W杯)初ゴール。後半、勝ち越されたが直後にジョーカー本田と岡崎を続けて投入。投入から6分後に本田の同点弾。ガッツポーズし大喜びした。
日本のW杯で初めて2度追い付いて引き分けた。過去先制されると1分け6敗だったが、西野ジャパンはたくましかった。「勝ちきれる、勝ちきらなきゃいけない」。3人の交代全てが攻撃的選手の投入。「ピッチにオフェンシブなメッセージを、最後まで送りたい」。コロンビア戦後「運を持っているのか?」と聞かれると「結果を出す中で、運につながってくれれば。運だけではなく良い選手に恵まれている」と答えている。運を手放すような自慢話はせず、控えめだ。
成功は準備、観察あってのもの。就任以来、練習でも少し遠くから選手をじっと見ていることが多い。一夜明けた猛暑のベースキャンプ地カザンでの練習もそう。23人に気を配り持ち場で力を発揮させている。
早大卒業後、日立でプレーしていたころの仕事は「人事教育部。最初の仕事が女子採用係」。面接で上司がどう選ぶかを体感し、研修所では社内教育にも。退社後はずっと指導者だから、ほぼ管理部門ひと筋。見る目は鋭い。ただの運で片付けては失礼だ。
“持ってる”だけなく、若いころから女性にモテたというのが分かる、言葉の力と人心掌握術も駆使。もはや験担ぎなのか、セネガル戦後も会見の翻訳機のイヤホンを、同席した協会広報に左耳に装着してもらうおちゃめも魅力。選手からの信頼は厚く、結果もついてきている。任期はW杯までだが、東京オリンピックを率いる森保監督の兼任案とともに、続投が議論される可能性も。いずれにしても、目指すはまず1次リーグ突破。今はただポーランド戦だけを見て進む。【八反誠】
◆勝ち点4の突破率 32チームで争われる現行方式になった98年フランス大会から前回大会まで、1次リーグの第2戦を終えて勝ち点4のケースは33あり、その中で決勝トーナメントに進めなかったのは5度だけ。突破率は約85%となる。敗退したのはいずれも最終戦で敗れたケースとなっている。



