MF柴崎が第1戦に続いて長短のパスを散らし、存在感を示した。前半34分、ハーフウエーライン手前から送ったロングボールが、左を駆け上がった長友に通る。押し込まれる場面が目立った時間帯で局面を変えたのは精密機械のようなキックだった。司令塔役が板についてきた26歳は「向こうのサイドバックが良い対応をできていなかった。そこはうまく突けた」と冷静に振り返った。

 試合前は「地上戦」で崩すイメージ。だが、ピッチでの感覚を優先した。「予想以上に裏への対応が良くなかったので、個人的に切り替えた」と言う。この鮮やかな1本のパスを起点に、乾の同点ゴールが生まれた。

 相手に退場者が出たコロンビア戦はスペースを有効に使ってパス回しの中心となったが、屈強なセネガルが相手でも天性のパスセンスはまばゆく輝いた。今季はスペイン1部で戦い、弱点だった守備面の働きにも磨きがかかっている。

 ストイックな性格で、サッカーに関して満足することはほとんどない。「自分に対してまだまだ要求していきたい。攻守両方にゴール前の精度を上げないといけない」と表情を変えずに言い、すぐに次を見据えた。