こぼれ球を拾いまくれ! 現地を訪れている日刊スポーツ評論家の宮沢ミシェル氏(54)が、第3戦の見どころを伝えます。ポーランドの2試合を分析。エースFWレバンドフスキにロングボールを送り、DFと競ってこぼれたボールを拾ってからの展開は破壊力アリとみた。引き分け以上で自力突破が決まる日本は、失点を防ぐため、山口と柴崎の両ボランチによる「こぼれ球拾い」が鍵になると導き出した。

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 日本が相手にやられて一番困ることは、ロングボールを前線に放り込まれることだ。相手は(1)DF陣もMF陣も、ロングボールをセンターFWのレバンドフスキ目掛けて蹴って、その後の展開でなんとかしたいと思っている。彼が競り勝てば、相手DFラインの裏がすぐに狙える。ロングボールを競る過程でボールがこぼれることがよくあるが、相手は(2)こぼれ球を想定して、近い位置にいるMFと両翼の一角が拾う準備をする。(3)逆サイドにいるMFは縦に行く準備をする。

 (4)ボールを拾ったらすぐに逆サイドに展開し、(5)縦にえぐってから(6)中央のGKとDFの間にクロスを入れる。そのボールを(7)最初にロングボールを競ったレバンドフスキが仕留めにくる。ボールがこぼれることを想定して、そこからどうするかが、システムとして確立されている。

 日本はどう動くべきか。まずは良質のボールを蹴らせないことだ。最前線の2トップから全ポジションの選手が、コンパクトにまとまって、<1>ボールの出どころを封じることが重要だ。<2>DF陣はロングボールに対して、味方につなげるより、大きなクリアを心掛ける。こぼれ球に近い距離で敏感に反応するには両ボランチの山口と柴崎があまり攻め上がらず、<3>そのボールが落ちる場所の近くにポジションを確保することが大事だ。その意識を高めておくことが、最大の脅威から逃れる近道だろう。

 <4>ロングボールの落下地点から遠いサイドにいるDFやMFは、マッチアップする相手が縦へ走り込むことを予測し、対人マークを怠らないこと。さらに<5>レバンドフスキと最初のボールを競ったDFは、相手にフリーでゴールに走り込まれないよう、最後までしっかりマークに付くことだ。この対応ができれば、ポーランドはそれほど怖くない。

 相手は足元の技術が、コロンビアやセネガルに比べると数段落ちる。今大会は、ミスも目立つ。そのため、基本はボールをつながせた方が、守りやすいし、ほころびが出る確率も増える。ロングボールを封じ、ショートパスをつながせておけば、歓喜の瞬間がやってくる。(日刊スポーツ評論家)