2人のスーパースターがワールドカップ(W杯)の舞台を去った。クリスティアノ・ロナウド(33=Rマドリード)のポルトガルは1-2でウルグアイに、リオネル・メッシ(31=バルセロナ)のアルゼンチンは3-4でフランスに敗れた。世界最優秀選手賞を意味する「バロンドール」を最近10年で5回ずつ分け合ってきた両雄は、4度目の出場でも悲願の世界制覇に届かなかった。年齢的にはともに今大会が集大成。W杯の歴史の中で1つの時代が終わりを告げた。

 ロナウドでも「バロンドールの呪い」は解けなかった。前年受賞者はW杯で優勝できないという、ジンクスを破れなかった。

 初戦のスペイン戦ではハットトリックを演じたが、この日はウルグアイの堅守に封じられた。厳しいマークに遭い、ドリブルで持ち込むとシュートコースを消され、前半31分のFKは壁にはね返された。6本のシュートは空砲に。試合終了間際、いら立ちから主審に怒りをぶつけ、勝っても次戦出場停止になる今大会2回目の警告を受けた。

 「好機は多かったが、得点が多い方が勝つ」。試合後は冷静だった。ロナウド中心のチームづくりで重圧も大きかった。若い選手も増え、円熟した名手がそろう所属のレアル・マドリードとは勝手が違いすぎた。サントス監督は「今後も代表チームに残ってほしい」としたが、本人は「今は先のことを語る時期じゃない」と話すにとどめ、いつまで情熱が続くかは不透明だ。

 後半25分にはスターらしい振る舞いがあった。この日2得点の相手FWカバニが負傷し、足を引きずりながらピッチを出ようとすると、肩を貸した。何事かささやきながら、左腕で相手を支え、歩くのを助けた。ロナウドの最後のW杯として、ファンの記憶に残ってしまうのが、この印象的な場面になるかもしれない。