エイバルMF乾貴士(28)が、9月20日のマラガ戦以来のフル出場を果たした。

 前節バレンシア戦は不出場に終わった乾は、左サイドを主戦場としてプレー。前半7分の超ロングシュートに始まり、後半開始直後のシュート連発などゴールへの強い意思を見せたが、その気持ちとは裏腹にこの試合もゴールを生み出すことが出来なかった。

 試合はエイバルが前半11分にFWアドリアンのPKで幸先よく先制し、主導権を握った。前半39分にFWエンリッチが加点、後半8分にMFラミス、後半17分にMFレオンがだめ押し4得点で大勝した。得点には絡めなかった乾だが、ボールを持つとスタンドからは歓声が上がった。エイバルは勝ち点を35に伸ばし、6位のビジャレアルと勝ち点1差と来季の欧州大会出場が目指せる7位につけている。

 乾は得点が奪えなかったことに「もう失望しかない。今は、もうこんだけ入らないかと、枠にも入らないですし。そこを改善しないといけない。わかっていることだけど、なかなかそれができない。技術、実力、全てが自分のせいだと思っている。これが今の自分の実力だと思うし受け止めて練習するしかない」と悔しげ。今季初ゴールを目標に掲げるだけに「そこですね、そこがすべてですね。極端な話そこだけだと思っているので。それ以外の部分はある程度手応えじゃないが出来ていると思う。調子自体も昔は波も大きかったが、今はここ10何試合そんなに波もなく維持して出来ているので、まあ、後は本当に得点すね」と苦笑いした。

 それでも持ち前の切れあるプレーは健在とあって「プレーの整理ができているというか、自分はここで何をしなければいけない、どんなプレーをしなければいけないというのができている。まあ、できていないときもあるし、今日も危ない場面が何度かあった。そこは修正しないといけないとこだが、(そういうミスは)だいぶ減ったと思うし、落ち着いてできていると思う」と手応えを口にした。

 そんな乾について、エイバルファンは温かい目で見守っている。帰り道であるサポーターは「エイバルのユニホームのためにあれだけ汗を流してくれている選手だから別に得点に関して強く注文することはないよ。良い試合をしてくれている」と、満足そうに話してくれた。(山本孔一通信員)