1年延期となった東京五輪の女子マラソンまで、再びちょうど1年となった7日、札幌市内のコースの気温と湿度を走る時間に合わせ、日刊スポーツが5キロごとに独自計測してみた。東京は暑すぎるという理由で、国際オリンピック委員会(IOC)が急転直下で開催地を札幌に変更したのが昨年秋。本当に暑さは和らぐのか-。それを確認すべく、当初の計画では1年前のはずだった昨年8月2日に日刊スポーツが東京で実施した同様の調査データと比較すると、気温は約3~9度低い結果に。よりスピードが求められることが浮き彫りとなった。(数字は日刊スポーツ調べ)

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東京では今年初の猛暑日となったが、北に約800キロも離れた札幌は、確かに涼しかった。本番コースを温度、湿度計を持って車で移動。ペースは交通ルールを徹底して守りつつ、本番の8位入賞あたりのラインで“走破”可能な2時間28分0秒に設定した。

朝7時の大通公園。見上げると、さっぽろテレビ塔が目に入る。温帯低気圧の影響で、早朝こそ天気は荒れていたが、7時すぎに雨はやんだ。昨年8月2日朝6時の国立競技場は、気温30・4度だった。札幌はスタートが1時間遅いが…。

スタート 大通公園(午前7時0分)気温24・3度、湿度84%

雨後でもジメジメした不快な暑さはない。

5キロ 中島公園付近(7時17分)25・4度、湿度80%

10キロ 平岸通・北海高付近(7時34分)27・1度、湿度70%

15キロ 創成川通・北辰中付近(7時55分)29・4度、湿度60%

20キロ 北大構内(8時9分)27・7度、湿度65%

中間点を過ぎ、札幌駅西、北海道庁旧本庁舎を抜けて大通公園に戻ると後半戦。再び約10キロを2周する。

25キロ 創成川通・北辰中付近(8時25分)26・2度、湿度62%

30キロ 北大構内(8時44分)26・3度、湿度62%

35キロ 創成川通・北辰中付近(9時1分)25・9度、湿度63%

40キロ 北大構内(9時17分)27・1度、湿度58%

コース全体を確認すれば、日差しを遮る建物は少ない。ただ北大敷地内のジグザグな道を抜けると、木がコースを覆い、日陰ができる。後半に一気にペースを上げるのが、今の世界水準。このあたりでペースは急激に変わりそう。そして最後まで気温は30度を超えず真夏日とはならなかった。

フィニッシュ 大通公園(9時28分)26・9度、湿度55%

女子代表の鈴木亜由子(28)を指導する日本郵政グループの高橋監督は「東京に比べ涼しい。ハイペースを想定した準備が大事」と話した。もちろん、1年後の天気など誰にも分からない。ただ、もし今日が本番なら、「立秋」で暦の上では秋を迎えたにもかかわらず、熱中症警戒アラートが初めて出され、午前9時には早くも30度超だった東京と札幌は、大きく違った。北の大地は、酷暑とは無縁だった。【上田悠太】