織田流の「世陸」がキター! 世界選手権東京大会(9月13~21日、国立競技場)まであと半年となった。同選手権スペシャルアンバサダーを務める俳優織田裕二(57)がこのほど、インタビューに応じた。TBS系の中継で97年からメインキャスターを担当して、今回は22年米オレゴン大会以来のカムバック。34年ぶりの東京開催を前に、独自の視点で、大会を盛り上げるアイデアを披露した。【取材・構成=藤塚大輔】
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織田は半年後の景色を想像し、言葉に熱を込めた。
織田 陸上って真っ白なキャンバスなんですよ。面白くなる仕掛けがいっぱいできる。
競技の起源は紀元前の古代オリンピック。歴史は古いが、十分に可能性を秘める。それを強く感じ取ったのが22年米オレゴン大会。短距離種目の合間だった。
織田 今から選手が出てくるという時に、トラックで小さな子どもたちが、かけっこしたんです。「これから100メートルの決勝だ」と肩に入っていた力が、ぽわ~んと抜けた。「かわいいなぁ」って手をたたいて。でも直後には、正反対の緊張が待っている。これから世界一速い人間が決まるんだから。してやられました。盛り上がった後の一瞬の静けさ。あれがたまらない。
熱狂と静寂。それを肌で感じるために打ち出すのが、トラックに観客席を設ける構想だ。
織田 お客さんをフィールドに入れるのはどうかな。棒高跳びなんて、2階建ての家の高さくらいある。フィールドで一緒に見上げたらビックリすると思う。ハードルを越える時のガシャンという音も驚くよ。テレビでは伝わらない音の迫力を感じてほしいな。
アイデアは尽きない。織田流の楽しみ方はまだまだある。
織田 現地では1人だけを追いかけることもできる。テレビは先頭を映す時間が長くなるけど、気になる選手だけを見るのも面白い。お客さんも気軽にサブトラック(練習場)へ行けると良い。競技場の外には出店も出したい。金魚すくい、わたがし、射的…。縁日みたいにしたらどうかな。
発想の裏には危機感もある。昨年6月に新潟で行われた日本選手権。全4日間の来場者数は2万1871人で、2000人に満たない日もあった。競技の裾野をいかに広げていくか。その旗振り役を担う覚悟だ。
織田 僕も学生時代は陸上をしていないけど、これだけのめり込んだ。あまり陸上を知らない人でも入り込めるようにしたい。選手と観客にとって、気持ちの良い大会にしたいからね。
真っ白なキャンバスだからこそ、いくらでも色を重ねられる。先頭に立ち、皆で1枚の絵を描いていく。
○…織田は、注目選手に2人の日本のエースを挙げた。1人は女子やり投げでパリ五輪金メダルの北口榛花。すでに内定しており、日本女子初の2連覇がかかる。前回大会では最終6投目で4位から大逆転を収め「泣きそうな顔をしてダメかと思ったら、逆転の投てきで笑顔を見せてくれる」と勝負強さを絶賛。「実際に会って少し話すだけでも面白い」と明るく飾らない性格にも太鼓判を押す。
もう1人は男子100メートルで2大会連続入賞のサニブラウン・ハキーム。10代のころから取材しており「とてもチャーミング。『世界一を取りたい』と素直に言った時から、無条件に応援している」とエール。パリ五輪では自己ベストの9秒96も準決勝敗退。その雪辱がかかる舞台へ「9秒9の壁をいつ破ってくれるのか」。あと0秒07と迫る9秒8台突入に期待を寄せた。
◆織田裕二(おだ・ゆうじ)1967年(昭42)12月13日生まれ、川崎市出身。フジテレビ系のドラマ「踊る大捜査線」などで主演。TBS系「世界陸上」の中継では97年から13大会連続でメインキャスター。22年日本陸連年間表彰式で特別賞を受賞した。177センチ。血液型A。
◆陸上世界選手権 初開催は1983年ヘルシンキ大会。第3回の91年東京大会から隔年(奇数年)開催となった。日本開催は07年大阪大会以来3度目。東京大会は34年ぶり2度目。今回は9月13~21日に国立競技場で49種目が行われる。
◆一般種目の代表選考 各種目の出場枠は最大3(女子やり投げは4)。パリ五輪入賞者で日本人最上位者は、1月1日から日本選手権(7月4~6日、東京)までに参加標準記録を突破すれば、内定。また8月24日までに標準記録を突破した上で、日本選手権で3位以内に入れば、代表に大きく近づく。現時点の内定は女子やり投げ北口榛花。

