陸上の2021年東京オリンピック(五輪)男子マラソン代表で3月末に現役引退後、明治学院大陸上部長距離ブロック監督の就任が内定している中村匠吾(33=富士通)が5日、東京・同大白金キャンパスで会見した。就任は4月1日付。
約10年、所属した大企業の実業団を“脱サラ”し、箱根未経験のチームの指揮官に転身する中村が、2人の名将の存在を力に変え、タクトを振る。
駒大時代は現総監督の大八木弘明氏から指導を受けた。4年時には「平成の常勝集団」の主将として箱根1区区間賞。富士通加入後も恩師と二人三脚でマラソンランナーとして鍛錬を積み、19年の東京五輪代表選考会のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ではラストスパート合戦を制し、初代王者となった。
指導者として目指す像はやはり恩師の背中だった。富士通でのコーチや社員として残る可能性もあった。引退後にコーチを経由せず、大学監督となるのは異例だったが、決め手になったのはやはり、大八木氏の言葉だった。
「中村だったら、やれる」-。
指導者を志した時から目指してきたのは、実業団監督や教員ではなく、大学監督だったという。特にマラソン選手の基盤となった駒大の4年間が忘れられなかった。「本当に指導者に恵まれた人生だった」と振り返る。
移り変わりゆく時代で求められる指導法も変わり、「マネできない」と笑った一方で、「特に大八木総監督の存在はすごく大きくて…。ああいった情熱のある、温かみのある監督になりたい」と先を見据える。
中村にはもう1人、影響を受けた名将がいる。
箱根駅伝9度の総合優勝に導いた青学大の原晋監督だ。
昨春、中村は早大大学院スポーツ科学研究科に進学。かつて原監督も学んだ平田竹男氏の研究室でトップスポーツマネジメントを研究した。
研究活動の一環で、昨夏には青学大の合宿を視察。原監督へのインタビュー調査もした。
印象的な言葉は「覚えていない」と言うが、「原さんはしっかり箱根駅伝に向けて『期分け』をされているなというところがすごく印象的だった」。
毎年、箱根路にピークを持っていくために緻密に計算されたスケジュール管理に影響を受けたという。
ただ、指導のベースとなるのは、駒大の4年間の経験。年々、高速化傾向の学生レースに4月からの本格参入する中村は「学生時代の大八木さんに教えてもらったところをベースにしながら、近年の高速化に合わせたスピード的な要素も取り入れながら進めていければ」と話した。

