2024年から日本陸上倶楽部会長を務める男子マラソンの瀬古利彦氏(69)が22日、五輪女子マラソン2大会メダルの有森裕子氏(59)と都内で対談イベントを行った。
有森氏の生い立ちを振り返った後、「代表選考」の話題を展開した。
1992年バルセロナ五輪(オリンピック)銀、96年アトランタ五輪銅メダルを獲得した有森氏だが、バルセロナ大会代表選考結果を巡って葛藤した過去がある。
代表残り1枠をつかんだ有森氏だが、当時自身よりも記録が上だった松野明美氏が落選となった。
代表内定が決まる直前には松野氏が会見で「私を選んでください」と訴えるなど当時、国内で不透明となっていた代表選考が大議論を呼んだ。
有森氏は当時の騒動をこう振り返った。
「選考問題は、決して選手に非は全くはない。自分たちの思う人が選ばれなかったら、もう二言目には『選考問題』と選手にぶつけてくる。どれだけの選手が選ばれる関係なく、私は傷ついてきた」。
選考結果を巡っては所属先や個人に対し、誹謗(ひぼう)中傷もあったという。
それから27年後、「私の念願のスタイル」と話したのは、2019年に21年東京五輪代表選考として行われたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)だった。
選手の実力やこれまでの結果などをよりクリアにした新選考方法には瀬古氏も尽力したといい、有森氏は「瀬古さんも頑張ったんですね。これでよかった、よかったですよ」と感謝を口にしていた。
すると、瀬古氏も「この間、増田明美君にも『瀬古さんね、何もしないけどMGCの時だけはよかった』って言われた」と語る。
陸上関係者が一丸となって誕生させたMGC。有森氏の瀬古氏への感謝の思いは尽きなかった。
「いろんな年代の方々が積み上げてこられたものを変えるのは『進化させる』と捉えればいいけど、『変えてしまうのか』と捉えるケースが多い中、ものすごい進化ができたと思う。もうこれで私みたいな思いをする人間はいなくなる」。
日本をけん引してきた元女子マラソンランナーからの感謝の言葉に瀬古氏は「俺、MGCつくって、自分で自分を褒めたかったんだね」と恥ずかしそうに言った。

