10月3日、4日に丸善インテック大阪プールで飛び込みの日本学生選手権(インカレ)が行われた。私も今シーズン初めて、ジャッジとしてプールへ足を運んだ。
4日には女子3メートル板飛び込みの決勝が行われ、同種目で東京オリンピック代表に内定している三上紗也可(日体大)や、高飛び込みで内定している荒井祭里(武庫川女子大)、3メートルシンクロでオリンピック最終選考会であるワールドカップへの出場が決まっている宮本葉月(近大)らも出場していた。
飛び込みは減点法での採点だ。
各審判員は、10点を最高得点にジャッジする。個人種目の場合、基本的には審判員が7名いる。公平な評価をするために、採点では最高点から上位2つと最低点から下位2つがカットされ、残った3つの採点と難易率を掛けた値が得点となる。
男子は6種目、女子は5種目の異なる演技の合計点数で順位が競われる。
私は選手時代から、結果はジャッジにかかっているということは常に意識していた。
結果を求めるのであれば、自分の満足だけではなく「人から見られてどうか」という点が大切であり、わずか2秒弱の演技でどれだけジャッジの心を動かし高得点の評価を得られるかが重要だ。
約半年ぶりに選手たちの演技を生で観られるのは楽しみだったが、久々のジャッジに内心はとても緊張していた。
「いい演技には高得点を出し、失敗したものには減点する」と単純にジャッジ出来ればいいのだが、近年、世界のレベルが上がり難易度の高い技も完璧に決めてくる選手がたくさんいる時代になった。それと同時に、ジャッジも昔に比べてとても厳しい目が求められている。
飛び込みといえば「いかに水しぶきが上げずに入水するか」が重要視されてきたが、もうそれは当たり前の世界。踏み切った瞬間から水に入るまでの一連の流れのスムーズさはもちろん、高さや台からの距離、空中での姿勢、そして入水の角度を一瞬にして見極め、適切に判断する。
とても責任の大きな一瞬であると感じる。
私が引退してすぐにジャッジの資格を取ろうと思ったのは、選手時代に何度かジャッジに疑問を感じたことが理由の1つだ。一生懸命戦っている選手たちに対して、公平で正確なジャッジで評価してあげたいとの思いがあった。
人が採点するということは、先入観や好き嫌いが影響する可能性が出てくる。身近にいる選手には、自分の思いを点数に込めてしまいたくなる。だがそれは許されない。やってみると、思ったより難しいことだと分かる。
まだまだ私のジャッジとしての経験は浅いが、これから先、たくさんの経験を積む中でスキルを磨き、いつかジャッジの日本代表としてオリンピックへ行きたいと思っている。
今回のインカレを最後に現役を引退する選手に。みなさん、競技生活大変お疲れさまでした。これから始まる第2の人生も、今までの経験を生かし活躍される事を願っています。
(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)