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「妖精」シャラポワ華やかさの裏に秘めた不屈の闘志

マリア・シャラポワ
マリア・シャラポワ

女子テニスの元世界女王で、4大大会5度の優勝を誇るマリア・シャラポワ(32=ロシア)が26日、米誌の中で「テニスにさよならを言います」と引退を表明。モデルも務めた容姿と合わせ、「妖精」、「女神」と称されたシャラポワの時代が終わった。

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04年ウィンブルドン決勝。女子スポーツ界に、ヒロインが誕生した姿を目のあたりにした。188センチの長身に、すらりと伸びた手足。真っ白なワンピースに身を包み、長い金髪を結び、テニスの聖地といわれるセンターコートで、雄たけびを上げ続けた。

引退に当たって、その華やかさに多くの焦点が当てられた。しかし、忘れ去られているが、鮮烈なウィンブルドン優勝は、彼女が抱えてきた幼少時の苦難の人生も、明らかにした。そして、それこそが彼女を世界一の女子アスリートにした原点だった。

決勝に進んだ時の会見で、生い立ちに質問が飛んだ。両親は、シャラポワを妊娠中、86年チェルノブイリ原発事故から逃げ、極寒のシベリアに移住。父ユーリさんは仕事を求め転々とし、7歳で、テニスのために米国に移住した。所持金は700ドル(約7万7000円)。母エレナさんは、ビザと渡航費の工面がつかず、渡米できず。2年間、別れ別れの生活だった。

しかし、その話の中で、年代的に時制が合わない箇所があった。ある外国記者がつっこむと「信じないならそれでいい。あなたに関係ないこと」と、17歳はきっぱりと言い放った。米国に渡るまで、人には言えない苦難の道のりがあったのだろう。

相手がどんなランク下であろうと、1回戦の1ポイント目からガッツポーズをつくる。そんな選手は今までいなかった。1ポイントごとに雄たけびを上げ、常に全力投球。華やかさの裏に秘められた不屈の闘志こそが、シャラポワの名を歴史に刻んだ原動力だった。【吉松忠弘】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)

09年、東レ・パンパシフィックオープン女子シングルスで優勝したシャラポワ
09年、東レ・パンパシフィックオープン女子シングルスで優勝したシャラポワ

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