レスリングの全日本選手権が今日21日、東京・代々木第2体育館で開幕する。男子は8階級でパリ五輪出場枠を得ておらず、今大会優勝者がアジア予選に派遣される。

この舞台に、男子史上最多4度目の五輪出場をかけるフリースタイル86キロ級の高谷惣亮(34=拓大職)が参戦する。母校の監督も務めながら、いま戦い続ける理由を聞いた。

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「もう自分のために、という段階は越えたのかな」。13連覇がかかる全日本まで1週間ほど。4度目の五輪となるパリ切符につながる舞台を前に、高谷が本音を教えてくれた。4度の出場となれば、男子レスリング界では史上初(太田章が日本選手団不参加の80年モスクワ大会も含めて4度の代表)。話を振ると、「でも、本当にこれまでの3回とは違うんです」と丁寧に説明してくれた。

「完全に『周囲の人のために』って気持ちで」。開催への逆風吹く東京大会も経験した。スポーツを続ける意味も心底考えた中で、「自分のため」という至極当然の動機からの転換があった。22年9月に第1子が誕生。4月には母校拓大の監督になった。「子供に五輪をみせたい。学生には、勝つためにはこれだけやらないといけないというのも示したい」と、戦う理由が増えていった。

今は筑波大大学院の博士課程にも在籍。何足ものわらじを履く中で、6月の全日本選抜選手権では決勝で石黒に敗れた。国内で10年ぶりの黒星。当時「後は託した」とすがすがしく後輩の背中を押したが、その後の世界選手権で石黒が五輪切符をつかめず、道が残った。

何より最後にスイッチを入れてくれたのは弟だった。74キロ級で弟大地が銅メダルをつかみ、パリ切符も手にした。東京五輪では献身的に支えてくれていた。「より火がつきました。『じゃあ自分も絶対いかないと』って気持ちにはさせてくれましたよね」。

全日本選抜を振り返ると、タックルの消極性や、体力面での消耗を恐れる戦いを反省するという。「やっぱり、攻める。そういう姿を周りの人は喜んでくれると思う。息切れするくらい戦おうと。負ける気はしない、この感覚久しぶりだなって」。いま見せたい、雄姿がある。【阿部健吾】

◆高谷惣亮(たかたに・そうすけ)1989年(平元)4月5日、京都府生まれ。小学校時代は空手で黒帯取得も、中1で本格的にレスリングを開始。網野高では総体優勝。拓大時代の11年全日本選手権で初優勝し、以降は階級を変えながら12連覇。74キロ級でロンドン五輪16位、リオデジャネイロ五輪7位。14年世界選手権銀。86キロ級で東京五輪1回戦敗退。178センチ。