熊本地震から丸1年となったこの日に開幕し、地元熊本市出身の上田桃子(30=かんぽ生命)が首位発進となった。

 1番パー4でいきなりバーディーを奪うと、4番パー5でもバーディー。ボギーなしの安定感あるゴルフで地元の観衆を魅了した。2位に2打差をつけての単独トップ。14年以来3年ぶりVへ、最高のスタートを切った。

 「どんな難しい状況でも、ひとつ、ひとつ。1打、1打を集中してやりました。ツキもあったと思う。地元のパワー、見えない力を感じた1日だった」。

 自宅も震災の被害にあった。既に取り壊しを済ませ、11月には新居が完成する予定だという。大会前にはかつて住んでいた場所を訪れ、基礎工事中の現場を目に焼き付けた。

 昨年は愛する地元に優勝を届けたかったが、1度も喜びを分かち合うことはできなかった。「(熊本を)元気にしたい、優勝したいと思ったけれど、自分がそれだけのレベルにはなかった」。もがき、苦しみ、悩んだ1年だった。

 目指すは完全復活の3年ぶりツアー制覇だ。「まだ明日、明後日もある」と気の緩みはない。復興が進む故郷熊本で、優勝したい-。上田には、その思いしかない。