内紛の続いた日本ハンドボール協会が、ようやく新体制移行に前進した。

 同協会は9日、都内で理事会を開き、辞意を明かした渡辺佳英会長(69)と蒲生晴明副会長兼専務理事(63)の退任を承認。今後は、新たな理事を決める評議員会の30日開催を目指し、10月1日に新体制をスタートさせたい意向だという。

 6月の評議員会で渡辺会長が不適切な会計処理があったとして蒲生副会長らの解任を提議した問題は、理事らによる調査委員会と弁護士ら外部メンバーによる第三者委員会が調査。理事会では、日本スポーツ振興センター(JSC)の助成金事業に対する会計処理が不適切だったという第三者委員会の調査結果が報告された。これを受けて、協会は平野祐司事務局長との業務委託契約を解除。渡辺会長と蒲生副会長が、責任をとって辞意を表明した。

 協会は不適切な会計処理の詳細を明らかにしていないが、会長代行の多田博副会長(72)は「着服したとかではなく、申請してはいけないアイテムが入っていたということ」と説明。第三者委員会からは会計処理とともに、組織としてのコンプライアンスの欠如も厳しく指摘されたという。

 新会長は新理事の互選によって決まる。渡辺会長、蒲生副会長ともに理事には残っているため、推薦委員会による新理事に名を連ねれば会長候補にはなる。ただし、コンプライアンス問題を根本から改善するために、外部から会長を招請する可能性もある。この日の理事会では、早期の事態収拾と新体制発足を求める声が噴出。6月の評議員会から4カ月、歩みを止めて迷走していた日本ハンドボール協会が再び動きだす。