昨年9月のカヌースプリント日本選手権で起きた禁止薬物混入問題を受けて、日本カヌー連盟の成田昌憲会長、山口徹正副会長、古谷利彦専務理事は11日、スポーツ庁を訪れ、今里譲次長と今泉柔剛国際課長に謝罪した。

 冒頭、成田会長は「このたびはお騒がせして誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。古谷利彦専務理事は「スポーツの道徳心を踏みにじる恥ずかしい行為をわが団体に所属する選手が起こしましたことをおわび申し上げます」と所々言葉を詰まらせながら話した。古谷専務から、一連の禁止薬物混入問題と窃盗、今後の対応策について報告したという。

 訪問を終え取材に応じた成田会長は「カヌーだけに限らず、全部のスポーツに迷惑をかけてしまったことでおわびします」と改めて頭を下げた。古谷専務理事は「スポーツの本心であるインテグリティー(高潔性)を高め、プレイトゥルーの精神を少年少女の段階で指導していくこと、東京五輪二向けて最前線で戦う選手にこそしっかりと指導していくことを伝えた」と語った。3月27日から、香川・坂出市で行われる、カヌースプリント海外派遣選手選考会から、ドリンク保管所を設け、係員と監視カメラの設置を行う方針も改めて強調した。

 現在石川県で開催されている代表合宿において、メンタルケアを行うために、同連盟からはカウンセラーを派遣する。危険薬物混入問題の被害にあった小松正治(25=愛媛県連盟)については、カヌースプリント海外派遣選手選考会が、暫定処分明けの復帰戦となる。

 スポーツ庁としては、今泉国際課長は「来週を目途に、パラスポーツも含め各競技団体を集め、アンチドーピングやスポーツの高潔さについての研修を行うことが検討されている」と明らかにした。研修には日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の専門家も同席する方向で現在調整しているという。