昨年の全日本選手権覇者の井上智裕(30=富士工業)が決勝で、沢田夢有人(23=日体大)を8-1で下し、初の世界選手権(10月、ブダペスト)代表の切符を獲得した。

 第1ピリオドからローリングで5点先取するなど攻め続けた。16年リオデジャネイロ五輪5位、18年アジア選手権3位などの実績を誇るが、意外にも世界代表は初となる。「いつも以上に試合は緊張したけど、勝ち切れて良かった。世界選手権は優勝しかない」と必勝宣言した。

 観客席では長男の航平くん(9)が段ボールで作った「手作り応援ボード」を持って声援を送った。7月17日の誕生日が一緒で、レスリングを始めたばかりという。「僕と一緒でセンスはないが、僕の子どもの頃とは違って『勝ちたい』という強い気持ちを持っている」と絶賛。世界選手権は家族で応援に駆け付ける予定だ。「優勝してかっこいい姿を見せたい。現役引退するまで勝ち続けたい」。世界一格好いいパパを目指し、息子に勝利をささげる。