競泳100メートルバタフライの水沼尚輝(22=新潟医療福祉大職員)が、4月2日開幕の日本選手権(~8日・東京辰巳国際水泳場)で初優勝を狙う。昨年の日本学生選手権(インカレ)チャンピオン。長岡市のダイエープロビスフェニックスプールで合宿を張り、本番に備えている。世界選手権(7月=韓国)の代表選考を兼ねる大会。目標の20年東京五輪への第1歩にするつもりだ。

   ◇   ◇   ◇   

強いストロークと、サイズ30センチの足を駆使したキックが、水沼の泳ぎの真骨頂だ。レースのひとかきで進む距離の約2メートルは、世界のトップスイマーに引けを取らない数値。「サイズ30センチの足は自慢の武器です」というキックも、大きな推進力を生む。1月の南オーストラリア州選手権(アデレード)の100メートルバタフライでは、51秒90の自己新記録をマークして優勝。今、乗っている。

下山好充監督(47)は「世界のトップと戦うために日本選手権は、ぶっちぎってほしい」と期待した。世界選手権の出場標準記録は51秒47。自己ベストを0秒43更新することが条件になるが、水沼は確信を持っていた。「今の練習の感触では(標準記録を)切れる、という自信がある」。18日から大会直前まで続ける合宿では、短い距離をレースに近いスピードで繰り返している。

今春、新潟医療福祉大を卒業した水沼は、卒業論文で自分の泳ぎを分析した。分析スタッフの撮影した映像をもとにレースのスタートからゴールまで、局面ごとのスピード、ストローク数などを調べた。分かった長所がひとかきで約2メートル進むストロークの強さ。「スタートから15メートルはトップ選手と差が開く」と研究結果で弱点も把握した。だからこそタイム短縮の余地は、ある。

栃木・作新学院時代は全国高校総体(インターハイ)の決勝にも残れなかった。当時のベストタイムは54秒45だった。大学で急成長して、昨年9月のインカレ・100メートルバタフライでは当時の自己記録51秒98をマーク。初優勝した。「多くの人から『感動した』という言葉をもらった。スポーツが感動、夢を与えることができると、初めて肌で感じた」。日本選手権は昨年3位。水沼は「感動」の泳ぎを披露して、世界選手権行きの切符を手にする覚悟だった。【涌井幹雄】

◆水沼尚輝(みずぬま・なおき)1996年(平8)12月13日、栃木県真岡市出身。作新学院出。4月から新医福大職員と大学院生を兼任。水泳部のアシスタントコーチにも就任。16、17日の第1回中村真衣杯(長岡市)100メートルバタフライは、瀬戸大也(24=ANA)に勝って優勝。昨年の日本選手権50メートルバタフライは6位。181センチ、81キロ。血液型B。