世界10位の大坂なおみ(22=日清食品)が、まさかの敗戦だ。同78位のサラ・ソリベストルモ(スペイン)に、最後はコート上で泣きながら0-6、3-6のわずか77分でストレートで敗れた。日本はエースが相手のNO・2に敗れる最悪の滑り出し。続く第2戦では世界86位土居美咲(28)も同55位C・スアレスナバロ(31)に敗れた。

対戦は2日間でシングルス4試合、ダブルス1試合の計5試合を戦い、3戦先勝方式。日本は後がなくなった。

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長い間眠っていた大坂の涙が、またもやコート上で流れ出た。0-6、3-5で突然、コート上で泣きだした。ベンチに返ろうとする大坂を、土橋登志久代表監督が苦笑いでなだめる始末。この1年ほど封印されていた精神的な弱さが、大事な一戦であらわになった。

苦手の赤土。全豪までのハードコートから練習時間は短かった。相手の粘り強い守備も。しかし、それ以前の問題。なぜか気持ちがわいてこない。「精神的に試合に入り込めなかったのは自分のせい」。全豪3回戦で敗れた時と同様に、ガッツポーズを繰り出すこともほとんどなく、沈んだ。

全豪の前哨戦ブリスベン国際で「今年は全ての試合に全力投球する」と誓った。「大舞台に強いと言われているけど、小さな大会でも気持ちを切らさない」。その言葉通り、同大会では準決勝で敗れたが、すべての試合に気迫あふれる試合で戦った。

しかし、なぜか突然、このようなプレーに陥る。全豪3回戦も同じだった。「勝ちたい気持ちは増したが、応えられなかった」。東京オリンピックの出場条件だけはクリアした。しかし、ほとばしる勝利への貪欲さは消え、つらさと悲しさだけが満ちていた。