常翔学園が大阪桐蔭を破り、02年大会以来19年ぶり11度目の近畿王者となった。過去の優勝は全て、大阪工大高時代で現校名では初。野上友一監督(62)は「FWがよう体を張って、守った。だから、後半に突き放せた。しかし、えらい長いこと勝ってへんかったんや」と苦笑いした。

攻守のバランスの良さを、日本一を狙う可能性を感じさせた。大阪桐蔭に接点で入り負けるシーンもあり14-7で折り返したが、後半はSO仲間航太(2年)のゲームメークにBK陣が反応。自軍ゴール前の窮地からFB神田陸斗(2年)のロングゲインを見せ、CTBファイアラガ義信ダビデ(1年)WTB湯前心(2年)SH田中景翔(1年)が大外、内側でトライを重ねた。

チーム全体の意思統一、プレーの理解度は春先にすれば、極めて高い。野上監督が「かしこ」(大阪弁で賢い人)というCTB山本大悟主将(2年)の役割は大きい。「情報をみんなに全部出すんじゃなく、箇条書きのように端的に共有するように心がけています」という。この日のテーマは「決勝でなく大阪桐蔭に勝つ」だった。「決勝とか先を見る感じで、花園の流通経大柏戦で失敗した。目の前のやるべきことをやる」。欲を捨て、目の前のゲームに集中した。

準決勝の天理に続き、歯ごたえ十分の相手を対し、優勝できた。野上監督は「今後の選抜大会や、花園のシード決めに向けて意味がある。でも、それ以上に選手が“自分らがだいぶ強くなってきた”と感じてくれたらええね」。開催未定の選抜大会が決まれば、最高の手応えを胸に臨むことができそうだ。【加藤裕一】