女子回転は、元全国高校女王の石橋未樹(26=ガスワン)が圧勝した。1回目56秒17、2回目52秒79の合計1分48秒96で2位に2秒21の大差をつけ、来季のW杯フル参戦(大回転)に向けて弾みをつけた。男子は今季、8年ぶりに現役復帰した佐々木明(41=フリー)が、右肩骨折の痛みに耐えながら、5位に食い込んだ。
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思い切り前傾してフィニッシュし、電光掲示板にタイムが出ると、ゴール地点のファンからどよめきが起こった。ただ1人、2回合計1分40秒台。決して得意ではない種目の優勝で、1月から続いたFISファーイースト杯の最終戦を、石橋が締めくくった。「回転で勝てたのは、ビックリでした」と目を真ん丸にしたあと、表情を緩めた。
9年前の東海大四高(現東海大札幌高)2年時に全国高校の回転を制し、その後を期待されながら、相次ぐケガで伸び悩んだ。東海大北海道1年時と4年時、練習中に右膝十字靱帯(じんたい)を断裂。2度とも全治8カ月の重傷で手術し、シーズンを棒に振った。大学卒業から昨季までの3年は「恐怖が残った」という。スピードに乗ると自然と姿勢が後傾になり、ブレーキがかかった。
友の活躍とW杯への思いが、恐怖心をかき消した。昨年2月の北京五輪を自宅でテレビ観戦。大回転で日本女子歴代2位の24位に入った同期の安藤麻(26=日清医療食品)のレースを見て「刺激を受けた」。自身も同年1月にようやくW杯初出場(イタリア・クロンプラッツ、1回目途中棄権)を果たしており「W杯で戦いたい」思いが高まった。
昨年10月から、3カ月以上に及ぶ欧州遠征を初めて実施。レベルの高い欧州杯や、FISレースを14戦した。「ポイントは思うように取れませんでしたが『行くしかない』という気持ちで戦えた」という。帰国後、日本、韓国で続いたFISファーイースト杯シリーズの大回転で6戦3勝2着2回と総合優勝し、来季W杯参戦資格を手中に収めた。
LPガスなどの燃料を販売する所属先では、夏場に週3日ほどデータ打ち込みや郵便物の仕分けなどの仕事に従事し、冬はスキーに専念する。「(来季は)安藤さんにライバルと思ってもらえるような滑りをして、サポートいただいている会社に恩返ししたい」と石橋。半年後に始まる初のW杯ツアー本格参戦で、友との差を一気に埋める。【中島洋尚】
◆石橋未樹(いしばし・みき)1996年4月23日、札幌市生まれ。札幌藤野南小2年でスキーを始めた。小6でウィスラー杯(カナダ)出場。東海大四高(現東海大札幌高)2年の全国高校回転優勝。17年ユニバーシアード(カザフスタン)出場。21年12月の全日本選手権大回転で初優勝し、22年1月にW杯初出場。家族は両親と兄、弟。157センチ。
○…男子では、ベテラン佐々木が右肩を骨折したままの強行出場で5位に入賞した。1回目12位から2回目は6番目のラップで順位を上げた。今季8年ぶりに現役復帰も12月に骨折。痛み止めを打ちながら欧州、アジア、北米、日本と転戦し、世界ランクもノーポイントからW杯派遣基準(150位以上)までわずかの180番台まで上昇させた。今は「(患部が)吐きそうなぐらい痛い」状況だが、「来年は治して欧米で戦う」と、次を見据えた。


