第103回全国高校ラグビー大会が27日に大阪・花園ラグビー場で開幕する。番狂わせが起きづらいとされるラグビーにおいて、今大会では新しい動きも見られる。「高校ラグビー地殻変動」と題し、新たな歴史を刻む3校を連載で紹介する。

21年ぶりAシードとなった佐賀工は、今年の強みであるBKを軸に初優勝を目指す。今夏の7人制大会で初優勝を果たし、高校日本代表候補6人を擁すタレント軍団。「五郎丸2世」と評される同候補SH井上達木(たつき、3年)が、黄金の左足キックでけん引する。18年からコーチを務める元日本代表フランカー野沢武史氏(44)の指導で成長したキーマンがOBで元日本代表、五郎丸歩氏の魂を胸に、有終の美を飾る。

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7人制初優勝に導いたSH井上が、悲願の花園初優勝に向けて、カギを握る。

高校1年時、OBの五郎丸氏から直接指導を受けて「自分のキックでチームに勢いを与えられるように」と金言を授かってから3年。その言葉を胸に、全体練習後も苦手な角度を納得いくまで蹴り込んできた。

21年ぶりのAシードで臨むラスト花園に「チャレンジャー、不撓(ふとう)不屈の精神で初優勝を成し遂げ、小城博総監督を胴上げしたい」と燃えている。

佐賀工と言えば、伝統の重戦車FW。しかし今年はBK陣にタレントがそろい、7人制Vの原動力となった。FWとBK一体のコンビネーションが絶妙で、例年とは攻守にひと味違う。

井上は「花園でゴールキックは100パーセント決める」と意気込む。7人制は1トライ、3GKの活躍で春の選抜大会王者、桐蔭学園(神奈川)撃破に貢献した。

18年から指導する野沢氏は「9、10、13番は天才」と評すほどBK陣のポテンシャルは高い。井上については、五郎丸を引き合いに「タイプは違うが、キックの質が高い。弾道は低い分、コントロールが難しいが、低くコントロールできるのが強み」とたたえる。井上も「野沢さんから学んだことはラグビーアイキュー(IQ)。視野が広がり、選択肢が広がりました」と感謝している。

佐賀工での日本一は、悲願だ。中学卒業時に東福岡からも声がかかっていたが、佐賀工OBでJR九州ラグビー部でフランカーだった父聖也さん(46)の影響でラグビーを始めた縁もあり「佐賀工で、東福岡を倒したい」と進学した。名前の「達木」は、親から「達人のようにうまくなってほしい、元気にすくすくと育ってほしい」という願いが込められている。達人技で初Vに導く。【菊川光一】

◆井上達木(いのうえ・たつき)2005年(平17)8月16日、北九州市八幡西区生まれ。ラグビーは赤坂小1年から帆柱ヤングラガーズで始め、本城中ではバスケットボール部と掛け持ち。佐賀工1年からレギュラーで今年1月にFBからSHに転向。50メートル走6秒2。U-17日本代表。173センチ、71キロ。

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