バドミントンの世界選手権(17日開幕、インド)の男女日本代表が6日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで練習を公開した。今大会は熊本県ゆかりの選手が4人出場する。

7月28日に発生した最大震度7の熊本地震で被害を受けた熊本県は、バドミントンの国際大会が開かれるなど深い競技文化が根付く地域だ。

21、22年以来の2連覇を目指す山口茜(29)が所属する再春館製薬所は、10年前の16年4月の地震でも被災。バドミントンチームや製造工場はすでに活動を再開した中、震災の教訓を生かして福祉や医療施設への災害備蓄物資の無償提供や被災した家庭に向けた一時的な社員寮無償開放などの支援活動を始めている。

16年の震災発生直前に高卒入社した山口自身も当時の復興の流れを知る1人。ただ、「自分にできることは変わらない」。その年のリオデジャネイロ五輪でも力を振り絞った。

出身地は福井だが、一時は世界ランキング1位となるなどトッププレーヤーへの道を支えてくれた熊本の地元企業の存在は大きい。

「今自分にできることを一生懸命やって、少しでも明るい話題を届けられたりとか、元気になってもらえるようなプレーができるだけできるように一生懸命頑張りたい」。

甚大な被害を受けた八代市からもペアで世界の頂を狙う選手がいる。

女子ダブルスの「フクマツ」として松本麻佑(30=ほねごり)とペアを組む福島由紀(33=岐阜Bluvic)は地元の家族が震度6強の地震に見舞われた。

連絡を取り合い、両親からは安全の知らせを受けたが、「親戚とかで被害に遭っている方もいる。ちょっと心痛いというか、何もできないんですけど、自分ができることはやりたいなっていう気持ち」と重い口を開く。

親戚の中には停電や断水により、避難生活をしている人もいるという。

福島自身も練習やメンタルには大きな影響はなかった。「でも、気にはなりますね。気にしないようにしているだけ」と遠くを見つめる。

しかし、今季は世界バドミントン連盟(BWF)のワールドツアーで最上位に格付けされるスーパー1000の6月のインドネシア・オープンでは世界ランク1位の中国ペアに勝って優勝。世界ランキング2位と好調だ。

「プレーで何かできるわけじゃないですけど、1つでも多くいいニュースを届けられたら」と力を込めた。

同市の県立校である八代東高は全国高校総体(インターハイ)優勝歴もある名門。

OBでは男子シングルの田中湧士(26=NTT東日本)と混合ダブルスで保原彩夏(28=ヨネックス)とペアを組む霜上雄一(28=日立情報通信エンジニアリング)が挑む。

母校の状況について田中は「たぶん大丈夫じゃないと思います」と言う。

さらには「ちょっとあんまりこっちから連絡をバンバンやりすぎると向こうは大変な時期だと思うので連絡も取らないようにはしている。落ち着いたぐらいで状況聞いてみようかと」と被災地の復旧を第一に願っていた。

前回は世界ランキング4位の中国選手から金星を挙げ、2回戦進出。しかし、地元を勇気づけるためなら1勝だけでは物足りないだろう。

「世界選手権は注目度も高いですし、八代東でやっていた人が世界で金メダル取って『みんな頑張ろうね』ってなったら1番うれしい。もちろん自分の結果を出したいのもあるけど、そうやって元気と勇気を与えられるなら1番いい」。

今夏はメダル量産で復興への道を歩む熊本を元気づける。