【トゥールーズ(フランス)9日=松本航】ラグビーW杯フランス大会に臨む日本代表(世界ランク14位)が結束力を示す。

10日に迎えるチリ(同22位)との1次リーグ初戦に向け、本番会場で前日調整。先発NO8の姫野和樹主将(29=トヨタ)は別メニューとなった。トニー・ブラウン・コーチ(48)は出場可否について、チリ戦当日の判断と明言。不測の事態をプロップ稲垣啓太(33=埼玉)ら経験豊富な男たちの導きで脱す。

    ◇    ◇    ◇

気温30度を超えた快晴のスタジアムに、赤と灰色の練習着を身につけた日本代表が立った。美しい緑の芝でパスをする仲間と離れ、姫野はメインスタンド手前を何往復も歩いた。左脚にはテーピングが巻かれ、ジョギング以上のスピードは出さない。全体練習が始まり、公開された15分間は脇で見守ることにとどめた。前日8日も練習に加わらなかったが「(試合は)出たいと思う」と誓っていた。攻撃担当のブラウン・コーチは記者会見で明かした。

「少し問題がある。早く回復し、試合に間に合えばいいと思っている。明日には分かると思います」

姫野の出場は流動的な状況だが、仮に欠場となった場合も主将不在を補う総合力はある。層の厚いFW第3列はW杯4大会連続出場のリーチが先発。ロックの控えに故障明けで身長201センチのディアンズが入り、空中戦の厚みが増した。展開次第で先発ロックのコーネルセンを、本職のFW第3列に回すことも可能だ。

けん引役としてもジョセフ体制となった16年以降、多くのリーダーを育んだ。4年前に歴史的勝利を挙げたアイルランド戦は、主将リーチの負担軽減を目的にラブスカフニがゲーム主将。チリ戦の先発にも昨年まで主将のフッカー坂手、今大会副将のSH流、リーチらがいる。3大会連続出場でスクラムを支えるプロップ稲垣は冷静に分析した。

「リーダーを張れる選手は多くいる。ただ(各方向から)修正しないといけないとなっても、チームはまとまらない。今、問題が起きているのは何か-。その時に必要な人が話す。あうんの呼吸が備わっている」

昨年から「エベレストを登る」と合言葉を定め、前回の8強超え、大目標の優勝に向けて歩んできた。今年は代表戦1勝5敗。結果がともなわず、批判も耳にする現状を「言われて当然」と言い切った。だが、勝負は4年に1度のW杯だ。

「ここから(エベレストで標高8000メートル超えを指す)デスゾーン。みんな覚悟を決めて、ここまできた。自分たちが積み重ねてきたことを信じる。前を向いて、突き進んでいきたい」

初出場チリとは初対戦。失うものがなく、情熱にあふれる相手に引かず、体を張り続ける。日本を背負う23人の使命は、ぶれない。

ラグビーW杯1次リーグ展望&日本代表カード型選手名鑑