「やっぱりこれだなぁ~」球界のラーメン通・巨人大竹寛コーチの「今食べたい推し麺5杯」

ストーリーズ

久保賢吾

「スープは全部飲むな!」。原監督の言いつけをけなげに守り抜き、引退会見で101杯(敗)のカップラーメンを振る舞った男。現役時代は「年に100杯食べても、ボクは評論家じゃない」と封印してきたラーメン愛を解禁してくれました。思い出の5店を紹介します。


「あ~、やっぱりこれだなぁ~」。巨人大竹寛巡回コーチ(38)は、大好きなラーメンを食べた時、一言目に同じ言葉が漏れる。

2021年10月25日、引退会見でカップラーメンを手に笑顔を見せる巨人大竹

2021年10月25日、引退会見でカップラーメンを手に笑顔を見せる巨人大竹

「うまいラーメンを食べると、自然と出ちゃうんですよね。『これ、これ』って。濃厚なラーメンって、食べ終わった時にはしばらくはもういいかなって思うんですけど、行くと体は正直なんですよ(笑)」

大好物のラーメンは、大竹の代名詞だった。有名にしたのは、巨人とのFA交渉に臨んだ13年オフ。当時の球団代表兼GMだった原沢敦氏から「ラーメン本」をプレゼントされ、一気に世に広まった。

大竹にとって、ラーメンは胃袋を満たすとともに、コミュニケーションのツールの1つにもなる。広島時代にはミコライオ、バリントンら外国人選手とラーメントークをきっかけに意気投合。巨人移籍後も「ラーメンのことなら大竹に聞け」とばかりに、先輩、後輩問わず、お勧めの店を聞かれ、交流を深めた。

引退会見後、卵かけラーメンを手に笑顔の巨人大竹寛コーチ(巨人阿南広報提供)

引退会見後、卵かけラーメンを手に笑顔の巨人大竹寛コーチ(巨人阿南広報提供)

ラーメンの味を知ったのは、広島時代のプロ4年目の横浜遠征だった。福永重明トレーナーから家系ラーメンの「たかさご家」を勧められ、1人で来店。熱々の麺を口に運んだ瞬間に「うまっ ! 」と衝撃を受けた。

「高卒でプロに入って、世の中も知らない中でこんなにうまいものがあるんだと。そこから、『また食べたい、食べたい』ってなって、食べていくうちにはまったんですよね」

浦和学院時代は、野球中心の生活で食事も栄養とバランスを考えられたメニューが用意された。恵まれた環境に感謝しながら、ラーメンで何よりも驚いたのが自分好みに味を変えられるトッピングだった。

風来軒の外観

風来軒の外観

「にんにくを入れてもうまいですし、酢とか、豆板醬を入れても味が変わって、うまいじゃないですか。のりに巻いてもうまいですし、『何だ、これは ! 』ってなって」

巨人移籍後は原監督から減量指令を受け、一時ラーメンを控える苦渋? の決断を下し、ある時は「スープは全部飲むな」と指摘された。若いころと比べれば、食べる頻度は減ったが、昨年の引退会見では100杯のカップラーメンを報道陣に用意。ラーメンとチームメートに囲まれ、会場を爆笑に包んだ。

実は現役時代、ラーメンの話題について、多くを語ることはなかった。引退を機に「寛ちゃんが選ぶ『今食べたい推し麺5杯』」が実現。絶品の味とともにお店にまつわるエピソードを紹介する。

◆「風来軒 加納本店」(宮崎県宮崎市清武町) 巨人のキャンプで出会ったお店です。とんこつのスープは結構、濃厚でパンチがあって、食べてる時はしばらくはいいかなって思うんですけど、休みの度にまた食べたくなるんです。スープもうまいですし、麺は少しストレートなのかな。ギョーザもチャーハンもうまいですね。

風来軒の一杯。奥には大竹コーチが絶賛する炒飯

風来軒の一杯。奥には大竹コーチが絶賛する炒飯

◆「武蔵家 東名川崎店」(神奈川県川崎市宮前区) ジャイアンツに移籍してから、ここには何度も通っています。最初はジャイアンツ球場の帰り道に寄ったんですけど、めちゃめちゃうまいなと思って。僕の好きな家系なんですけど、ここは特にスープがうまいです。いつ行っても、うまいスープにお腹も心も満たされますね。

武蔵家のラーメン

武蔵家のラーメン

◆「紫金飯店 原宿店」(東京都渋谷区) カープの時に、神宮でのヤクルト戦の出前で取ってたんです。10年以上前の話ですけど、酸辣湯麺が好きになるきっかけになったお店で、僕にとって、神宮球場の味ですね。当時、佐々岡さんとか先輩が出前を頼まれてて、誰も酸辣湯麺はいかないんですけど、辛いのも好きだし、注文してみたら、これはうまいなと。

そこから、チーム内でブームが起きましたからね。ミコライオとかもめちゃくちゃ食べてて。豆腐とか具もいっぱい入っていて、麺も少し多めで、満足度が高いんですよね。とろみもあって、熱々で、味のバランスも良くて。酸味、辛み、とろみ、麺、スープ、全部が最高です。ここを超えてくる酸辣湯麺にはなかなか出会えないですね。

紫金飯店の酸辣湯麺

紫金飯店の酸辣湯麺

◆「骨骨亭」(広島県広島市中区) カープにいた時に休日によく行ったお店です。広島にはなかなか太麺のお店がなくて、探して、見つけて。チームメートにも教えたら斎藤(悠葵)とか、久本さんとか何人かはまってましたね。独特の麺で、スープはそこまでとがってないですけど、キャベツとかもやしにも合うし、太い麺にスープがついてくるんです。広島版二郎というか、好きでしたね。

骨骨亭のラーメン

骨骨亭のラーメン

◆「中華 武ぞう」(静岡県伊東市) ここ数年、自主トレしてた伊東のお店で、昼飯になるとほぼ行ってましたね。オススメは広東麺。知ってからは違うメニューにいけなくなっちゃって。魚介系のスープがめちゃめちゃうまいです。とろみがあって、野菜もあって、海鮮もあって、ボリュームもあって、バランスもいいですから。1月は寒いですし、体も温かくなって、最高でしたね。

「中華 武ぞう」の広東麺

「中華 武ぞう」の広東麺

◆大竹寛(おおたけ・かん)

1983年(昭58)5月21日、埼玉県生まれ。浦和学院2年夏に甲子園出場も登板なし。3年時にはアジアAAA選手権に高校日本代表で出場した。

01年ドラフト1巡目で広島入団。13年オフにFAで巨人入り。14年に12球団勝利を達成した。 通算375試合で102勝101敗、17セーブ、防御率3・77。19年プレミア12日本代表。184センチ、96キロ。右投げ右打ち。

代名詞はシュート、ラーメン、ものまね。巨人移籍初年度、財界の中枢が集うパーティー「燦燦(さんさん)会」で「まいっちゃうな~」とマスオさんを演じきり、拍手喝采を浴びた逸話を持つ。


◆球界とラーメン

★DeNA田代巡回打撃コーチ 好きが高じ、引退後、神奈川県内に「田代ラーメン」をオープン。コーチ就任に伴い閉店したが、レシピは門外不出を貫いている。

★巨人坂本 20年に2000安打を達成し、試合後の会見で今一番食べたいものを聞かれ「好きなラーメンです」と即答。「極力、試合前は食べないように意識しているので」と答えた。

★実家がラーメン店 楽天弓削、西武小関ファーム野手総合兼打撃コーチ。ともに激戦区の栃木・佐野市で人気を博す。身長193センチの弓削は「小さいころから家でいっぱいラーメンを食べていたおかげで、背が伸びたのかもしれませんね」。ソフトバンク王球団会長の実家が「中華料理 五十番」だった話は有名。

★助っ人勢 麺類は試合前後の選手サロンで提供されることも多く、ラーメンも定番。日本の生活になじみ、はまっていくパターン。「一蘭」「一風堂」など豚骨ラーメンは特に人気。元ソフトバンクのバレンティン、元阪神メッセンジャー、マートン、元巨人のグライシンガーら。