【イチロー大相撲〈20〉】玉鷲「愛は変わらない」日本国籍取得を語る
モンゴル出身の玉鷲(39=片男波)が、3月19日付で日本国籍を取得しました。これで引退後に親方として日本相撲協会に残るための資格を得ました。
本名はバトジャルガル・ムンフオリギルから、玉鷲一朗に改名しています。
国籍変更に抵抗はなかったのか? 日本名の由来は? 協会の規約をどう思うか? インタビューで率直な気持ちを答えてくれました。本人の話し口調そのままお届けします。
大相撲
電話はこない
――3月19日、春場所10日目に日本国籍取得が告示されました。どこでニュースを知りました
普通に携帯のニュースで。あれ? なんでニュース出ているのかな? これどういう意味なの?って。良く分からなくて。
――直接の連絡はこないんですか
そうなんですね。
――ニュースを見たのは朝稽古終わった後ぐらいですか
終わって、ちょうど寝る前です。
――どう思いましたか
ちょっと これ、どういう意味なのかな。日本人なるよってニュースなのか。これから日本人になろうとするニュースなのか、ちょっと自分には分からなかった。絶対電話が来ると思ってたので。
――最初の申請から、どのくらい時間がかかったんですか
まず最初、いろんな、まずモンゴル大使館に出すのと、日本で出すやつを探す。色々書類とかあって、それはすごくこう長くて。もう結局、2年半かな。
――書類を色々集めたり書いたりするのもすごい大変なんですよね
そうですね。
「わかるようになっちゃったから」
――日本人になろうと考えたのはいつぐらいからですか
そうですね、30過ぎてからですね。
――将来のことを考えて
そうですね、はい。将来のことっていうより、まあ、なんていうのかな、30すぎたら、自分でも相撲が楽しくなって。方法、わかるようになっちゃったから。これが自分の強くなったきっかけなんだと。それも人にだんだんと、やっぱ自分だけじゃなくて、人に伝えるじゃないですか、周りの人。それをだんだん、もっと人に伝えて、もっとこう、チャンスあるんじゃないかと。
――親方になるためには、日本人にならないといけないっていうのは、いつ知ったんですか
そうですね、流れで。
――周りの人の反響はどうでしたか
もちろん、やっぱおめでとう。うん、長い。やっぱ待ったから。
――最初に決断した時、奥様はなんて言ってましたか
そうですね、やっぱ同じように応援してくれたですね。
――日本国籍取得が決まった時、本場所中の支度部屋では「日本の文化をもっと知りたい」とコメントされていました。これはどういう考えですか
今までもわかるんですけど、でも、なんていうのかな、本当に日本人ってもうなってるじゃないですか。そしたら、やっぱり知った方がいい、やっぱ知りたいですね。
――もう結構知ってるんじゃないですか
そうっすけど。相撲は知ってるけど。ちゃんと。その、なんていうの。テレビで聞いたことじゃなくて。この、ちゃんと知りたい。例えば漢字を覚えるけど、何でその漢字なのか。それを知ったら結構深いじゃないですか。あとからもわかりやすい。あ、だからこう書くのか。だったらもっと書きやすいみたいな。
――漢字で一、二、三、ときて、次は四になる。これ、変だと思いませんか
そうです。口とか書けばいいですね。それはもう不思議で。
――日本に初めて来た時は、どのくらい日本のことを知ってたんですか
豊かで、いいところ。
――実際に来て、不思議だなと思ったことは何かありましたか
あんまり知りすぎていたから、あまり。でも唯一ね、 多分知ってると思うんですけど、いろんな国があるじゃないですか。アメリカ、モンゴルでもそう。けど、やっぱ、日本の食、大好き。好きですね。一番美味しいですね。
――モンゴルから来た人は最初、生の魚を食べられない
もちろん、そうそうそう。
――刺身は、食べられるようになったのですか
最初は食べられなくて。やっぱ最初は、かっぱ巻き、わさび巻き。
――だんだん食べられるように
そうですね。昔、大嶽部屋で一門の稽古があった時、稽古終わった後、2階でまわしを付けたまま、寿司を食べました。
その時、ネギトロ食べたんですね、あれはおいしかったですね。
――今は何でも食べられますか
何でも食べられます。
――好きな食べ物はなんですか
逆に今、何でも好きなんで。これって言ったら難しい。
――例えば寿司のネタは
本文残り68% (3401文字/5036文字)

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。
-
大相撲【秋場所こぼれ話 中日~千秋楽】大の里が後援者と万歳をした支度部屋にセレブの香り
【秋場所こぼれ話 中日~千秋楽】大の里が後援者と万歳をした支度部屋にセレブの香り 秋場所は、横綱大の里の6場所ぶり6度目…
佐々木一郎
-
大相撲【39代木村庄之助 定年会見全文】今日を最後に装束を着ることはないと思います
【39代木村庄之助 定年会見全文】今日を最後に装束を着ることはないと思います 立行司、39代木村庄之助(64=九重)が1…
佐々木一郎
-
大相撲【秋場所こぼれ話 初日~7日目】大の里と藤ノ川のルーティンの狙いとは?
【秋場所こぼれ話 初日~7日目】大の里と藤ノ川のルーティンの狙いとは? 秋場所は、横綱大の里の6場所ぶり6度目の優勝で幕…
佐々木一郎
-
大相撲【アーカイブ動画配信中】佐々木一郎記者「夜の大相撲」秋場所編もお楽しみください
【アーカイブ動画配信中】佐々木一郎記者「夜の大相撲」秋場所編もお楽しみください 日刊スポーツ・プレミアムが相撲ファンの皆…
佐々木一郎
-
大相撲【矢後 引退会見全文】希望を持って手術を受けたが元通りにはならなかった
【矢後 引退会見全文】希望を持って手術を受けたが元通りにはならなかった 元幕内で西三段目22枚目、矢後(32=押尾川)が…
佐々木一郎
-
大相撲大相撲の番付をAIに作らせたらどうなるのでしょう 精度は何割? 難しかったのは?
大相撲の番付をAIに作らせたらどうなるのでしょう 精度は何割? 難しかったのは? 大相撲の番付をAIに作らせたらどうなる…
佐々木一郎
-
大相撲最古参関取の佐田の海、11カ月だけ過ごした「熊本」を出身地としている理由とは?
最古参関取の佐田の海、11カ月だけ過ごした「熊本」を出身地としている理由とは? 最古参の関取、39歳の佐田の海(境川)が…
佐々木一郎
-
大相撲【祝・新三役 教えて!藤ノ川関】その勇気の原動力はどこにあるんですか?
【祝・新三役 教えて!藤ノ川関】その勇気の原動力はどこにあるんですか? 幕内最年少21歳の藤ノ川関(伊勢ノ海)に、好角家…
佐々木一郎
-
大相撲【夏巡業の思い出】大栄翔の謎のマイルール、真夜中にテレビが落下して飛び起きた輝
【夏巡業の思い出】大栄翔の謎のマイルール、真夜中にテレビが落下して飛び起きた輝 2026年の夏巡業は、8月30日が最終日…
佐々木一郎
-
大相撲【千代の富士を忘れない 後編】初優勝、一代年寄を辞退…引退会見「体力の限界」
【千代の富士を忘れない 後編】初優勝、一代年寄を辞退…引退会見「体力の限界」 横綱千代の富士が亡くなってから10年になり…
佐々木一郎
-
大相撲【千代の富士を忘れない 前編】がんに屈した大横綱、日刊スポーツはどう報じたか
【千代の富士を忘れない 前編】がんに屈した大横綱、日刊スポーツはどう報じたか 横綱千代の富士が亡くなってから10年になり…
佐々木一郎
-
大相撲【名古屋場所こぼれ話 9日目~千秋楽】あの足を見たら優勝なんて想像できなかった
【名古屋場所こぼれ話 9日目~千秋楽】あの足を見たら優勝なんて想像できなかった 名古屋場所は、関脇安青錦の3度目の優勝で…
佐々木一郎
-
大相撲【名古屋場所こぼれ話 初日~中日】獅司は入門時、ポケトークで意思疎通していた
【名古屋場所こぼれ話 初日~中日】獅司は入門時、ポケトークで意思疎通していた 名古屋場所は、関脇安青錦の3度目の優勝で幕…
佐々木一郎
-
大相撲【大翔丸 引退会見全文】両親から伝えられた「でも、その小さい体で、ようやったよ」
【大翔丸 引退会見全文】両親から伝えられた「でも、その小さい体で、ようやったよ」 元幕内の大翔丸(35=追手風)が名古屋…
佐々木一郎
-
大相撲【アーカイブ動画配信中】佐々木一郎記者「夜の大相撲」お楽しみください
【アーカイブ動画配信中】佐々木一郎記者「夜の大相撲」お楽しみください 【お待たせいたしました! アーカイブ配信開始いたし…
佐々木一郎
-
大相撲朝乃山の富山への愛が詰まった反物 ブリが波の上に跳びはね、立山連峰が見守る
朝乃山の富山への愛が詰まった反物 ブリが波の上に跳びはね、立山連峰が見守る 大相撲には、幕内力士や相撲部屋が反物を作り、…
佐々木一郎
-
大相撲背筋が凍るデザインはどうして生まれた? 王鵬の今年の反物は「ホラー柄」
背筋が凍るデザインはどうして生まれた? 王鵬の今年の反物は「ホラー柄」 大相撲には、幕内力士や相撲部屋が反物を作り、お中…
佐々木一郎
-
大相撲【琴栄峰インタビュー】一門を超えて伝授された四股、飛躍のきっかけと近づいた優勝
【琴栄峰インタビュー】一門を超えて伝授された四股、飛躍のきっかけと近づいた優勝 22歳の新鋭、琴栄峰(佐渡ケ嶽)が夏場所…
佐々木一郎