トム・クルーズ還暦!「トップガン」のF14と自衛隊F15Jの浅からぬ縁&写真企画もどうぞ

7月3日が誕生日のトム・クルーズが還暦を迎えた。とても60に見えないトムが体を張りまくって作った続編映画「トップガン マーヴェリック」。大空!飛行機!ドッグファイト!極秘ミッション!バイク!ライバル!恋!友情! 少年心をくすぐる要素がてんこ盛りでリピーター続出し、大ヒットを記録している。トムと戦闘機にまつわる映画記者の独り言と、本紙カメラマンが撮影した自衛隊の航空ショーのフォトギャラリーをお届けします。

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文・相原斎、撮影・日刊スポーツ写真映像部

おんぼろF14対某国第5世代戦闘機

公開中の「トップガン マーヴェリック」が、多くの航空ファンの胸を熱くしています。「子どもの頃の夢は俳優かパイロットだった」と明かす主演トム・クルーズ(60)のかなりマニアックな航空機愛がちりばめられているからだと思います。

トムがカリフォルニア州サンディエゴ近郊のミラマー海軍基地を再訪したのは、前作から32年ぶりの18年9月でした。写真特集の航空自衛隊「エアフェスタ浜松2019」のちょうど1年前のことです。トムはそこで航空サバイバル・トレーニングに参加し、「―マーヴェリック」撮影への入念な準備を始めました。

前作からの30年間で特撮技術は劇的に向上し、スタジオ上層部はCGIの活用を提案しましたが、トムは「実写」にこだわり続けました。急な上下動や旋回で生じる強烈な「G」に耐えるため、過酷なトレーニングを繰り返したのです。

最新鋭の第5世代機ではなく、F/A18が使用されたのも、実写撮影が前提になっていたからだと思います。機内にカメラを持ち込むためには、同機の復座コックピットスペースが必須だったのです。配備40年を超えるこの機は、改良を重ねながらいまだに海兵隊航空部隊の現役ですからリアリティーにも問題はありません。

地上攻撃能力や電子機器のありようなど、劇中の「至難のミッション」は、まるでF/A18のためにあるような、その機能に「当て書き」された展開です。

そのかいあって、俳優陣が「G」に耐えるリアルな空中シーンは確かに見応えがあります。今回はトム以外にもマイルズ・テラー(35)やグレン・パウエル(33)といったパイロット役のそうそうたる若手俳優たちが数カ月のトレーニングに参加し、観ているこちらが思わず脚を踏ん張ってしまうような「空中演技」を披露しています。

ジェリー・ブラッカイマー監督は「前作でもトムのシーンは実際にF14のコックピットで撮影したものを使ったが、訓練経験の浅い他の俳優のは使いものにならならず、空中で目を丸くしている山のような映像がボツになった。比べて、今回はパイロット全員が見事にGを克服した」と前作からのグレードアップを明言しています。

前作で空中戦の主役となったそのF14は高額な運用コストがたたり、06年に米海軍から「退役」しています。「―マーヴェリック」では、ミッションの対象となった某敵対国に使用可能な状態で存在し、最終盤で重要な役割を果たします。王政時代にF14を輸入し、いまだに運用している唯一の国がイランで、王政が倒されてから米国とは犬猿の仲ですから、このF14の使い方は何やら意味深です。

「エアフェスタ浜松―」に登場した自衛隊の主力戦闘機F15Jも実はF14と浅からぬ因縁があります。

76年に入間基地で行われた国際航空ショーで、自衛隊の次期主力機を巡り、この両機の製造元がし烈な売り込み合戦を繰り広げたのです。グラマン社は西大西洋を航行中の原子力空母エンタープライズから海軍所属のF14を呼び寄せ、マクダネル・ダグラス社は建国200年の記念塗装を施したF15を米本土から飛ばして、PRに務めました。

結果選定されたF15を三菱重工が航空自衛隊向けに改良し、ライセンス生産しているのが現在のF15Jです。もしF14を選んでいたら…イランと日本という米国とは対照的な関係にある2国が「トムキャット」の愛称で呼ばれるこの機を現役運用していることになります。米国にとってはちょっとむずがゆい感じになっていたかもしれません。

「―マーヴェリック」に話を戻すと、終盤では敵国の第5世代機が立ちはだかります。シルエットからロシア製のSu57と思われます。改良型のF18でも勝ち目はないと言われるこの最新鋭機に前作同様のF14に乗ったトップガン(エリートパイロット)が戦いを挑むというクライマックス。結局トムはこれが撮りたかったんだな、と改めて思います。

冒頭にもトムのパイロットへのリスペクトが感じられます。テストパイロットとしてマッハ10の壁に挑むトムふんするミッチェル大佐。音速の壁を初めて越えた伝説の存在、チャック・イェーガーへのオマージュに違いありません。

「ライトスタッフ」(83年、フィリップ・カウフマン監督)に登場したサム・シェパードのいぶし銀の演技が記憶に残っています。飛び抜けた才能を持ちながら、初の宇宙飛行士マーキュリー・セブンの選に漏れたイェガーは、当時の最新鋭機NF104で孤高の挑戦を続けます。将官への昇進を拒み、現役にこだわるミッチェル大佐の姿勢が重なって見えます。

そして、エピローグのように登場するP51マスタングはなんとトムの私物です。

「あの場面は操縦もしています。こんなに何度も戦闘機に乗る機会はなかったし、こんなに幸せを感じたことはありません」

トム自身この映画で至福の時を過ごしたのです。

「トップガン マーヴェリック」女性パイロットとF/A18。東宝東和提供(C)2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

「トップガン マーヴェリック」女性パイロットとF/A18。東宝東和提供(C)2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

★エアフェスタ浜松2019 フォトギャラリー★

ここからは写真ギャラリーです。2019年10月20日、静岡・浜松市の航空自衛隊浜松基地で開催された航空ショー「エアフェスタ浜松2019」に本紙カメラマンがはせ参じました。ブルーインパルスや世界で4機しかないE-767早期警戒管制機などの展示飛行が披露されました。最後に動画もあります。★各写真をクリックするとキャプションが開きます★