みうらじゅん氏と「本」 古本屋で自著に遭遇したら・・・独自視点に満ちたおもしろトーク

【番記者裏話】スクープや芸能界の最新情報を求めて現場を駆け回る芸能記者が、取材を通じて感じた思いをつづります。

番記者裏話

遠藤尚子

イラストレーターみうらじゅん氏(64)の、本にまつわる話が面白かった。

みうら氏は、10月末に群馬・前橋市で初めて行われる本のイベント「前橋BOOK FES」の開催発表会にサポーターとして出席。本との向き合い方について「読書家ではないけど、小さい時から本を買うことが好き。基本読んでないけど、本を本棚に差し込むのが好きなんです」と、自身を陳列するタイプの本好きだと語った。

その思いは少年期から持っており、「自分もいつか本棚に差せる本が欲しいと思った」という。みうら氏は「中学時代から自称エッセイスト。原稿用紙を和とじして、ひもで結んで背表紙をつけて、それを僕の部屋の本棚にスッと差し込むんです。『三浦純選集3』とか書いて。友達が来た時に、それを『これ、おもろいで』と勧めるのが好きで、ずいぶんその活動をやってきました」。

ちなみに当時の作品は現存しており、表紙だけではあるが、「三浦少年」の作品群をみうら氏の公式ホームページで確認することができる。その量の多さに圧倒されるし、これが本棚に並んでいたのかと思うとほほ笑ましい。自分の作品を本棚に差し込み、それを満足げに眺めるみうら氏の少年時代も、何となく想像された。

漫画家、エッセイストとして多くの作品を手がけるが、最近になって自著を数え直したという。みうら氏は「こういう仕事について42年経つけれど、自分でも把握し切れていなかった。文庫本を入れると、多分170作以上になると思う」。一方で、数の割に作品があまり認知されていないことに触れ「これだけ出しているわけだから、皆さん当然ご存じのはず。でも気がついていない。こんなにたくさん本を出しているのに、どうやら本屋さんにあまり置かれていない。怪奇現象ですよね」と、淡々と語って笑いを誘った。

同ブックフェスは、来場者が読まなくなった本を持ち寄り、トレードすることがメインの企画となる。エグゼクティブプロデューサーを務めるコピーライターの糸井重里氏(73)から「みうらさんのふざけた本で人生が変わる人もいると思う」と期待されると、みうら氏は「一番怖いのは絶版。(在庫を)断裁するらしい。それは嫌なので、古本でも、もう1回読む機会があれば、絶版をくらっていても生き返る。すごくいいと思う」と語った。

また話題が古本に展開すると、みうら氏はある古書店で大量出品された自分の著作に遭遇した時のことを回想。「よほどのことがない限り、こんなに出さないと思った。僕の本って古本屋にあまりないんです。(持ち主が)死んだか、相当嫌になったかでしょう。だから僕が買うようにしているんです」と、自著を“回収”しているという。

ある時は「古本屋で推理小説を買った時、1ページ目をめくったら『犯人はホテルのメイド』だって書いてあった」と苦笑い。「がぜんやる気なくなるけど、本当かな? と思う気持ちがあった。本を読み切ることはなかったけど、それは読み切りましたよね。そうしたら、犯人はホテルのメイドじゃなかったんです。最高な言葉が書いてあったわけです。読み切るまでいきましたから」と、ユニークな出会いになったことを振り返っていた。

「本」というワンテーマでさまざまなエピソードが飛び出す。独自視点に満ちたトークを堪能させてもらった。