ペアとして五輪初出場の三浦璃来(20=木下グループ)木原龍一(29=同)組が自己ベストを更新する74・45点をマークし、4位につけた。7ポイント獲得した。

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息を合わせ、そろってトリプルトーループをシンクロさせるなど、9歳差コンビが氷上を舞った。力を出し切った演技後、自然とガッツポーズが飛び出した。笑みもこぼれた。満足感にあふれていた。

三浦は「練習でできていたことを試合でも出すことができました。ただ小さなステップシークエンスなどでばたついたところもあるので、次は直したい」と冷静だった。その三浦の落ち着きぶりを説明するかのように、木原は「オリンピックといっても何か特別なことをする試合ではない。今までの対外試合と変わらないよと三浦さんには伝えてきました」と充実した表情で話した。

飛躍的な成長を遂げる「りくりゅう」が、ついに五輪の舞台に立った。今季はグランプリ(GP)シリーズ2戦で表彰台に立ち、上位6組が進むGPファイナルの出場権を獲得。大会は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、別のパートナーと14年ソチ、18年平昌五輪に出場した木原は「過去(五輪)2大会は『とにかく予選を通過したいな』『通ればいいな』という感じ。今回は自分たちのやってきたことを出して、しっかり結果を残したいという気持ちが強い」と誓ってきた。

結成わずか2年半だが、2人には通じるものがあった。互いに別のパートナーと活動していたが解散。19年7月、直接話したことがない木原へ、9歳下の三浦がトライアウトの打診をしたのがきっかけだった。三浦は笑って振り返る。

「私はすっごい怖い印象がありました。試合のアップの時に(高地トレーニング用の)黒いマスクをしているのを見ていて、それをつけて『スコーッ』『スコーッ』と音を立てながら走っている。『話し掛けづらいな』と思ったのが第一印象です」

世界ジュニア選手権の出場経験があった三浦にとって、木原は遠い存在で「自分がついていけるか心配」と思った。だが、初めてのトライアウトで手を取り合い、木原に衝撃が走った。

「自分が投げたい、やりたいことが実現できるんじゃないかと思いました。カミナリが落ちたじゃないけれど『もしかしたら、合うんじゃないか』『これが最後のチャンスかな』と思いました」

直近となる18年の全日本選手権は出場2組。男女シングルに比べ、日本で認知度が高いとはいえない種目で2人は成長した。カナダに拠点を置き、新型コロナウイルスが感染急拡大した20年は1月以降、帰国することもできなかった。2人で思いをぶつけあい、笑い合いながら、世界トップレベルの一角に上り詰めた。

三浦は「緊張感とか考えず、オリンピックという大事な大会にパートナー、コーチといられる幸せを感じながら滑りたい」。そして木原は「自分たちが頑張れば日本に(メダルの)チャンスが回ってくる」と次のフリーを見据えた。