昨夏のバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)日本代表の渡辺雄太(29=グリズリーズ)が22日、WOWOWのNBAプレーオフ中継にゲスト解説として生出演した。出演後に同局のインタビューに応じ、自身の6年間のNBAキャリアについて語った。

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-自身のNBA生活6シーズンを振り返って

「6シーズン本当に毎日バスケのことだけ考えて、自分がこの世界に残るために考えてやってこれた。本当に充実した6年間だったと思っています。終わってみると、あっという間の6年間。もちろん辛い思いもしましたが、その分楽しい思いもさせてもらいました。いろいろいい経験をさせてもらえ、自分にとっては一生忘れることのできない6年間です」

-2月にサンズから古巣のグリズリーズに移籍した際は、どのように受け止めたか

「今回は自分がトレードをされる立場でしたが、今まで僕もチームメートがトレードされるのを見てきました。そういう意味で、ビジネスの世界は割り切ってやるしかないと思っていました。ただ、やっぱりいざ自分が当事者になってみると、すごくショックな部分はありました。優勝を目指してやっていた分、本当かという気持ちがありましたが、(移籍が古巣の)グリズリーズだったので本当に良かったです。僕がNBA始めた地で、NBAのキャリアを終えるというところも、なるべくしてなったのかなと思います」

-移籍が決まったとき、デュラントらサンズのチームメートから言葉をかけられましたか?

「選手のグループチャットがあるのですが、僕も含めたトレードされる選手に対して、これから別のチームでも頑張ってと皆に言ってもらいました」

-NBA6シーズンの中で、試合以外で印象に残っているできごとは

「プライベートはほとんど犠牲にした6年間だったので、プライベートで記憶に残っていることは全くありません。僕より能力や技術ある選手が1、2年でNBAを去っていくのをずっと見てきた。その犠牲があったからこそ自分の能力で6年間やってこれたと思っています。もっと米国のことを知ることができたらと思いますが、それは自分が現役を引退した後でもできること。現役の間は仕事であるバスケットボールに全力投球することが自分らしいと思っています。本当にバスケのことだけを考えた6年間でした」

-NBA6シーズンにおける収穫と課題は

「高校時代を振り返ってみても、元々シューターではありませんでした。米国に行って、シュート力を身につけないとこの世界で生き残っていけないというところから、3点シュートの練習を一生懸命始めました。大学でもプロでも毎年ちょっとずつ結果が見えてきて、それが昨シーズンに本当に開花した感じでした。時間的にはかかりましたが、地道に努力すれば、世界最高峰のレベルでもちゃんと力を発揮できるということを知れたのは良かったです。ただ、技術的にもっといろいろなことができないとNBAの世界で、これからさらに6年以上となってくると生き残っていけません。そういう意味では自分はまだまだ実力不足な部分があったのかなというふうに思っています。日本に帰るにあたってさらに技術を身に着けて、日本では3&D(3点シュートとディフェンス)以外のプレーも見せていけたらと思っています」