北京五輪フィギュアスケート女子のROC(ロシア・オリンピック委員会)代表で、ドーピング違反問題に揺れるカミラ・ワリエワ(15)が17日に決勝のフリーを迎える。世界記録保持者は、ショートプログラム(SP)首位で、金メダル最有力。一方で国際オリンピック委員会(IOC)は3位以内なら成績を「暫定」とする異例の措置で対抗した。ワリエワから新たに2種の薬物が検出されたとの情報も出ており、波乱のメダルマッチとなる。
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【フィギュア】フリーに向け坂本花織ら公式練習、ドーピング違反騒動のワリエワも登場/写真特集>
世界で最も有名になった15歳が、勝ち負け問わず物議を醸す舞台に立つ。16歳未満の「要保護者」を理由にドーピング違反が確定しないまま、スポーツ仲裁裁判所(CAS)から個人戦出場を認められたワリエワは、五輪史に残る騒動に発展した中で金メダルを目指す。SP首位通過の前夜は演技直後の涙が渦中の苦しさを物語ったが、この日は盤石。公式練習の曲かけで2種3本の4回転ジャンプを決めるなど上位5人の中で唯一ノーミスで終えた。
フリーも合計点も世界記録を保持。ベストスコアでSP2位シェルバコワに30点以上の差をつけており、当然1位予想だ。対抗するようにIOCが動いた。アダムス広報部長はこの日の定例会見で、ワリエワの今大会成績について「アスタリスク(*)を付ける」と表明した。各国・地域のメダル数をカウントするが「暫定的な」公式記録として注釈を付け、取り扱う。ワリエワがROCの金メダルに貢献した7日までの団体も同様だが、個人戦もメダル想定で手を打った形だ。
疑念が膨らむ情報も出てきた。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は15日、禁止物質トリメタジジンに加え、もう2種類の物質が新たに検出されていたと報じた。「ハイポキセン」と「L-カルニチン」で14日未明まで開かれたCASの聴聞会に提出された文書から明らかになった、としている。ともに禁止薬物ではないが、持久力向上、疲労軽減、酸素消費効率を高める組み合わせになり得る、と記事では伝えられている。
前夜は取材エリアを無言で通過し、会見も欠席。この日も声かけに反応せず、愛するウサギのキャラクター「マイメロディ」のティッシュ箱を抱え、関係者と談笑しながら会場を後にした。仮記録でメダル授与式もない。IOCはフリー後の会見欠席も容認し、何も語らぬまま五輪を去る可能性が高い。大詰めを迎えた北京五輪の話題を独占する少女は今夜、おそらく金メダルを取るだろう。だがそこには暫定という前代未聞の注釈が付く。【木下淳】




