渡部兄弟が冬季五輪で初の「兄弟メダル」を手にした。荻原健司&次晴兄弟も果たせなかった快挙。3大会目の出場で初の五輪メダリストとなった弟渡部善斗(30=北野建設)は「みんなで頑張ってメダルを取れたのが一番うれしいです」と夢見心地な様子だった。

トップバッターとしての仕事を果たした。首位と12秒差でスタートし、上位4チームの混戦にもつれると、必死に食らい付いて0・3秒差の2位で2走永井につないだ。5位だった14年ソチ、4位だった18年平昌でも渡部兄弟と永井の3選手は悔しい思いをしたメンバーだ。日本のエースを兄に持つ渡部善は3度目の大会へ「4位だけど3位まですごい遠い。結局暁斗しか通用していない。暁斗頼み。僕が強くなれば日本チームは楽しみになる」と、兄に負けじと自らにプレッシャーをかけていた。

兄が個人戦で3大会連続でメダルを獲得。銅メダルだったラージヒルの試合後にはSNSで「いつもはこんなこと言わないけど、今日だけは言わせてください。僕のお兄ちゃんは、スゴイ人です」と喜びの投稿をしていた。兄弟でともに取ったメダル。「メダリストになったんですね」としみじみ語っていた。【保坂果那】

○…チーム最年長38歳の永井が有終の美を飾った。2走で粘り、メダル圏内をキープしてエース渡部暁に任せた。パンダの大会マスコットキャラクターを胸元にしまって顔をのぞかせて取材エリアに登場。同じ岩手県出身のジャンプ小林陵侑スタイルで「真似させてもらいました」と笑顔のはしゃぎっぷり。最後の五輪と決めており、「最高のご褒美。頼もしい後輩たちが育ってきている。僕は心置きなく、今の位置を譲ることができる。最後の挑戦で最高の形で終えることができて本当に良かった」と喜びに浸っていた。