大会第3日は決勝が行われ、宮城MAXが55-52でNO EXCUSE(東京)に競り勝ち、大会9連覇を達成した。

 3位決定戦では埼玉ライオンズが56-44でワールドBBC(愛知)を下した。

 宮城MAXの藤本怜央(33)とNO EXCUSEの香西宏昭(28)は、ともにドイツ・ハンブルクでプレーする。香西は米国イリノイ大を卒業後に契約して4年、藤本は3年になる。2人は日本代表の2軸を担う。パラリンピックでの結果を求め同じチームに所属。日本でのライバルは、ドイツでは同士として戦っている。

 もう1人、宮城MAXの豊島英(28)も、リオデジャネイロ・パラリンピック以降、ドイツ・ケルンに渡った。世界のトップクラスのリーグを経験した3人が、日本選手権決勝の舞台で激突した。

 試合開始直後に豊島が立て続けに2ゴールを決め、藤本もそれに続いた。しかし、その後、香西の3ポイントシュートが2本決まり、情勢がひっくり返る。NO EXCUSEの堅い守備に阻まれ、藤本は徹底的に押さえ込まれた。前半終了時点でNO EXCUSEが29-26、第3ピリオドも41対39でリードしていた。1ゴール差で迎えた最終ピリオドで藤本が息を吹き返し、4点を追加して逆転。畳み掛けるように豊島のレイアップシュートが決まり、女子選手として今大会全試合に出場した藤井郁美(34)もアウトサイドシュートで猛攻した。

 残り時間13秒、53-52で宮城MAXがリードしていた場面で、NO EXCUSE最年少選手として急成長している森谷幸生(24)のファウルを受けた藤本が、着実に2本のフリースローを沈めて優勝を決したのだった。

 「去年の準決勝を僅差で勝った時以上に、今年のNO EXCUSEは進化していた。ヒロ(香西)の強度、レベルにチームがしっかり追いついている」。開口一番、藤本が試合を振り返った。

 「接戦は予想していたが、苦しい場面が何度もあった。ドイツでは自分が軸にならなくてはいけないということを痛感しました。今大会、同じ気持ちでプレーできたことが競り勝てた要因だと思います」と、藤本に次ぐ17得点を挙げた豊島も胸をなでおろした。

 前半リードしたハーフタイム、香西はタッチを確かめるように、1人シュート練習をしていた。「あと半分。これまでチームでやってきたことをもう1度しっかり実践させよう」。静かに自分に言い聞かせていたという。「昨年の準決勝でも宮城MAXを追い詰めることができたが、今年は去年以上に勝てる可能性を感じていた」。それでも勝ち切れなかったのは「豊島が試合をコントロールして、藤本が決めるべきところで決め切った。その形がさらに強くなっていた」からだ、と語る。

 ドイツで研鑽(けんさん)を積む3人のプレーに触発されて、若い選手や女子選手がレベルアップする。まさに、海外組の経験が継承された日本選手権だった。【宮崎恵理】