<車いすテニス体験記>

 思わず「わぁー」と、何度も声が出てしまった。車輪を動かしてボールを打とうにも、届かない。うまくバウンドが合わない。想像以上の難易度に目を丸くするばかり。それでも、2度か3度、ボールを反対側のコートに返せた時にはなんとも言えない達成感を得られた。車いす操作のコツをつかめばクルクル回って、一味違った楽しいテニスができる。そんな印象だ。

 選手の試合を見ると、うまく車いすを回転させ、バウンドを合わせてボールを返していた。今回、日本チームの臨時コーチを務めた柴原義康さん(59)によると、「バランスと予想能力が必要」だという。つまり、相手が返してくるボールの位置の予測を読み間違えれば、途端にボールに追いつかなくなる。また、バウンドに合わせて車いすの動かす速さを加減する。そういった難しさもある。やってみなければ分からない。車いすテニスの奥深さを感じた。【斎藤庸裕】